韓国メディアでは「外国人投資家が韓国に387.1億ドルを投資」との惹句が踊るかもしれませんが、手放しで喜んでいる場合でしょうか――という話です。
なんの話かというと、外国人投資家が有価証券市場でどのように売買したのか、です。
2022年01月13日、『韓国銀行』が「2021年12月の国際金融・外国為替市場動向」を公表しました。このデータで、2021年に外国人投資家が韓国の有価証券市場でどのように純売買したのかが分かります。
以下をご覧ください。
外国人の証券投資資金(純売買金額)
2021年12月(単月)
株式:36.9億ドル(約4,224.7億円)
債券:48.5億ドル(約5,552.8億円)
小計:85.4億ドル(約9,777.4億円)2021年01~12月(累積)
株式:-174.4億ドル(約-1兆9,967.1億円)
債券:561.5億ドル(約6兆4,286.1億円)
小計:387.1億ドル(約4兆4,319.1億円)※「買収 – 売却」の数字です。買収の方が多ければプラス(= 買い越し)、売却の方が多ければマイナス(= 売り越し)になります。
株式市場ではセルコリア「約2兆円」
まず株式。外国人投資家は、株式市場においてセルコリアを旨としてきたのですが、「11月:25.2億ドル」「12月:36.9億ドル(約4,224.7億円)」と買い越しており、韓国メディアがよく書く「外国人投資家が帰ってきた状態」となっています。
しかし、通年では残念ながら「-174.4億ドル」(約-1兆9,967.1億円)。2021年、外国人投資家は約2兆円を株式市場から引き上げました。資金流出です。
ただし、2020年は「-182.4億ドル」(-2兆833.0億円)でしたから、2021年は資金流出が少なくて済みました。
債券市場は異常。約6.4兆円の負債増
次に債券。これは異常な増加です。年次で見ると以下のようになります。
外国人投資家の債券純売買額
2019年: 81.6億ドル(約9,342.4億円)
2020年:217.1億ドル(約2兆4,855.8億円)
2021年:561.5億ドル(約6兆4,286.1億円)
2021年、外国人投資家はなんと「561.5億ドル」(約6兆4,286.1億円)も債券を買い越しました。
これは確かに資金流入でありますが、借金でもあります。債券というのは、基本定期的に利子を支払い、満期が来たら元本を返済するものです。
つまり、2021年韓国は約6.4兆円も負債を積んだのです。外国人投資家からお金を借りたといってもいいでしょう。
株式(資金流出)と債券(資金流入)を足して、外国人投資家は2021年中に「387.1億ドル」(約4兆4,319.1億円)を入れたことになります。
その点は韓国メディアの惹句どおり、「外国人投資家は約6.4兆円を韓国に投資した」です。しかし、その中身は上掲のとおりであって、外国人投資家に対して負債を増やしたことでもあります。
これは利子を付けて返済するお金です。
(吉田ハンチング@dcp)