韓国では政府負債、家計負債が異常な速度で増加しています。これがドボンの導火線になるかもしれないと懸念されているわけですが、今回は「政府負債」に関する件です。
まず、政府負債がどのくらい増えたかを歴代政権で比較すると、2020年末時点では以下のようでした。
歴代政権での政府負債増加額
盧武鉉政権(2003~2008年):143兆2,000億ウォン
李明博政権(2008~2013年):180兆8,000億ウォン
朴槿恵政権(2013~2017年):170兆4,000億ウォン
文在寅政権(2017~2020年):408兆1,000億ウォン
2021年のデータがまだ公式に締まっていませんので、これで済んでいますが、文在寅政権は間違いなく韓国史上に残る借金増政府です。
この先、韓国の政府負債がどのように伸びていくかは以下のように予想されています(基データは国会予算政策処/Money1編集部でグラフ化)。
何度もご紹介してきましたが、韓国政府は「政府負債の対GDP比率:40%以内」を暗黙のルールとしてきたのですが、現在の文政権はこれを破りました。
理由は、これまた先にご紹介したとおり、文大統領が「なぜそう決まっているんだ」と企画財政部を叱責したからです。
文大統領のツルのひと声が政府負債の雪だるまを作ったのです。
この負債の急増に、さすがに内外は懸念を表明しています。世界的な格付け会社も韓国政府に懸念を伝えたため、韓国政府は2020年10月05日に企画財政部は「財政準則」を公表しました。
財政準則は、守るべき財政上のルールです。雪だるま式に拡大する負債に歯止めをかけるためとして、
国家債務比率60%、統合財政収支△3%を目安とし、一つの指標が基準値を超過しても、他の指標が基準値を下回れば条件を満たしたとみなすことができるよう、相互補完的に設計した。
と説明しました。
また、「この財政準則を法律化し、2025年から実施」としたのです。「法律化して基準を順守するなら……」と、格付け会社『Moody’s’(ムーディーズ)』はこれを評価するとしました。
ところが……。
この法制化の動きは全く進んでいません。1年以上もほったらかしなのです。
一応、2020年末に「韓国型財政準則」を盛り込んだ「国家財政法改正案」は上程されているのですが、委員会で止まった状態です。
文政権もあとわずかですので、財政準則の法制化について「やる気がない」と見るしかありません。残る時間でお金をまく気ですし、そのために抑止となる法律を作りたくないのです。無責任という他はないでしょう。
注目は、2021年韓国の格付けを据え置いた格付け機関が、2022年に韓国をどのように評価するかです。
ちなみに『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)からは「財政準則を法制化しないなら韓国の格付けは下がるぞ」という警告も行われているのです。
ご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)