どうも韓国メディアの皆さんは「パーフェクトストーム」という表現が気に入ったようです。
Money1でもご紹介したとおり、新金融監督院長となったの鄭恩甫(チョン・ウンボ)さんが2021年08月に言及し、紙面を賑わせました。
しかし、その前にもあの『全国経済人連合会』許昌秀(ホ・チャンス)会長が韓国経済について警鐘を鳴らす発言でパーフェクトストームを使ったことがあります。
それは2020年03月で、このときはまさに世界的なドル不足で韓国がドボン寸前に落ち込んでいた時でした。許会長は「韓国経済が実体と金融の複合危機であるパーフェクトストーム(超大型経済危機)の真ん中に置かれているだけに特段の非常経済措置が必要だ」との考えを明らかにしました。
この時は、「日韓通貨スワップが要る」などと余計なことに言及していたわけですが。韓国にとっては必要でも日本にとっては百害あって一利なしなので、本当にいらん発言ではありました。
パーフェクトストームは原油高が原因なのか
それはともかく、2022年03月09日の『亜州経済』記事にまたぞろパーフェクトストームが出ましたのでご紹介します。
以下に記事の冒頭部分を引用してみます。
韓国経済に「パーフェクトストーム(perfect storm)」警告灯が点灯した。
ロシアのウクライナ侵攻で原油価格の高騰や物価高、高い為替レート(ウォン安の急伸:筆者注)まで、さまざまな悪材料が一度に韓国経済を強打している。
このままなら経済活動が停滞した中、物価が急騰するスタグフレーションの可能性も排除できない。
いわんとしていることは、原油価格の高騰が尋常ではなく、通貨安がこの困難に拍車を掛けているということです。ただでさえ国際原油価格が上昇しているのに、ウォン安が進行していますから、ウォン建てにした時の原油価格の値上がりはさらなるものになるのです。
記事の中で注目なのは、韓国のガソリン価格に言及した部分です。以下に引いてみます。
(前略)
韓国石油公社の油価情報サイト『Opinet』によると、08日午前、全国ガソリンスタンドガソリン平均販売価格は1,845.61ウォンで、前日より17.27ウォン上がった。2014年9月以降約7年半ぶりに最高値だ。
(後略)
08日午前で全国平均「1,845.61ウォン」としていますが、『Opinet』で確かめてみると、10日の全国平均は「1,898.46ウォン」となっています(以下スクリーンショット参照)。
⇒参照・引用元:『Opinet』公式サイト
1リットル当たり「1,898.46ウォン」は日本円にすると「180.35円」になります。
『NHK』の報道によると日本全国平均のガソリン価格が07日時点で「174.6円」ですので、韓国は日本よりやや高いことになります(10日と07日の比較になってしまいますが)。
上記記事にあるとおり、韓国のガソリン価格は2014年09月以来の最高値更新中です。
スタグフレーションに突入するのか
原油価格はガソリン代だけではなく、諸物価高騰に拍車をかけています。先にご紹介したとおり韓国は石油依存が非常に高い国だからです。石油類の物価寄与度は0.79%にもなるのです。
このように原油高が尋常ではないインフレに見舞われている韓国にさらに追い打ちをかけているというわけです。 Money1では何度もご紹介しているとおりこの原油高は貿易黒字の減少(および赤字化)の主因の一つでもあります。
確かに、景気が低迷する中、物価が上昇するというスタグフレーション突入が見えてきたかもしれません(「そんなものとっくに始まっている」かもしれません)。
(吉田ハンチング@dcp)