負債比率「563%」『韓国電力』の今そこにある危機! これまで積み上げた利益はほぼ蒸発した

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2023年11月17日、『韓国電力公社』(以下『韓国電力』と表記)が2023年第3四半期の詳細な決算データを公表しました。先にご紹介したとおり、第3四半期は10四半期ぶりに営業利益が黒字になりました。

しかしながら、今回公表されたデータを見ると、一安心では済まないことが分かります。

まず、貸借対照表がどうなっているのかというと、全体的には以下のような構成です。

資産:240.2兆ウォン
負債:204.1兆ウォン
自己資本:36.2兆ウォン

四捨五入しているので足しても合いません。
『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト

負債比率を計算すると「562.8%」になります。つまり負債が自己資本の5.628倍もあるのです。

韓国の場合は、負債比率が200%で危険企業とされますので、危険どころの騒ぎではありません。

2022年度末にはいくらだったのかというと、

資産:234.8兆ウォン
負債:192.8兆ウォン
自己資本:42.0兆ウォン

四捨五入しています。
『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト

同じく負債比率を計算してみると、2022年には「459.0%」。全く褒められた数字ではありませんが、それでも負債は自己資本の4.590倍でした。これが9カ月で「5.628倍」に膨らんだのです。

なぜこんなことになったのかというと、まず負債の増加です。負債の部を切り出してみましょう。


↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。

黄色の蛍光マーカーが2023年第3四半期。赤い蛍光マーカーが2022年末時点/以下同

『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト

すぐに分かるのは流動負債の著しい増加です。2022年末には「44.5兆ウォン」だったのものが、2023年第3四半期は「51.5兆ウォン」になっています。9カ月で約7兆ウォンも増加しました。

理由は簡単で、赤字続きでキャッシュフローが回らず、お金を借り倒したからです。

次に自己資本が激減しています。上記のとおり、2022年末には「42.0兆ウォン」あったのに、2023年第3四半期は「36.2兆ウォン」まで「約5.8兆ウォン」も減少しています。

これも理由は簡単で、キャッシュフローが回らないため、手持ちのお金を取り崩して凌いだからです。資本の部を切り出してみると、利益剰余金が激減していることが分かります。


利益剰余金が2022年末:21.4兆ウォン。2023年第3四半期:15.3兆ウォンですから「約6.1兆ウォン」減少しました。

『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト

特に注意したいのは「任意積立金」として計上されている「2022年末:27.8兆ウォン」が2023年第3四半期には「2.8兆ウォン」まで激減していることです。つまり、『韓国電力』がこれまで積み上げてきた利益をこの9カ月でほとんど使ってしまったのです。

2023年第3四半期時点で、未処理の利益剰余金が約10.9兆ウォン計上されているので、利益剰余金が15.3兆ウォンあることになっています。

『韓国電力』の新社長は「これ以上の自助努力は無理」と述べましたが、それも無理はありません。『韓国電力』は料金の値上げ路線を緩めることはできません。まさに今そこにある危機なのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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