文在寅大統領と尹錫悦(ユン・ソギョル)新大統領の昼食会が流れた件を先にご紹介しましたが、韓国における新旧権力の戦いが激しくなってきました。
「選挙戦が終わったのでノーサイド」とはとてもいかない様相を呈しています。また、あの朴さんです。
大統領の人事権にガタガタ言うな
大統領府の朴洙賢(パク・スヒョン)国民疎通首席秘書官がラジオ番組に出演し、尹錫悦(ユン・ソギョル)さん陣営の言動について「大統領の人事権についてあれこれ言うのは望ましくない」と釘をさしました。
「李明博(イ・ミョンバク)元大統領の赦免せよ」「公企業へのパラシュート(天下り)人事をやめろ」といった野党『国民の力』からの要求について、「赦免については大統領の専権事項」「05月09日までの任期内は文大統領が人事権を持つ」と反論したのです。
つまり「05月09日までは大統領の専権事項についてガタガタ言うな」というわけです。
ちなみに、この朴秘書官という人は、ラジオに出演しては文大統領擁護の発言ばかりしています。Money1でもご紹介したことがありますが「K防疫を失敗と言うな」と発言したことがあります。
「K防疫を失敗と呼ぶのは医療関係者や国民の努力への非難だ」という問題のすり替えを行っての擁護でした。
それはともかく、直近の問題としては『韓国銀行』の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁の任期が03月末までですので、後任を決めなければならないのですが、これがまた紛糾しています。
『国民の力』側は、中央銀行の総裁人事については次期大統領である尹錫悦(ユン・ソギョル)さんの意思が反映される必要があると主張しています。
これに対して、青瓦台・大統領府は上掲のとおり、「退任までは人事権は文大統領にある」と反発しているのです。
韓国の大統領は公務員の人事権を掌握している
韓国の大統領は帝王的といわれますが、その理由の一つは最終的な公務員の任命権は全部大統領が握っている点にあります。つまり、その気になれば公的な権力組織の全てを大統領の意向に沿った人物で固められることを意味しています。
この権限を「そこまでやるかね」とばかりに発揮したのが文在寅大統領です。
身内で何もかも固めた結果が「5年間でレガシーが何もない」という韓国史上に残る政権を作りました。
尹錫悦(ユン・ソギョル)さんら新権力側が攻勢を強めていますが、これまた身内で人事を固めようとしているに他なりません。文政権は最後の最後に自分の息のかかった人物を公的機関、公企業に残置しようとしています。
つまり、どっちもどっちで、やっていることは対抗勢力の全否定。先にご紹介したとおり、この戦いは続きます。
最後に呉善花先生の著作から文を引いてみます。
(前略)
なぜこんなことが起きるかというと、朝鮮半島では王朝が交代すると、前王朝の政治も文化もみな否定してしまうことが大きい。また、戦乱が起きると、敵の文化の大部分を破壊し、焼き払ってしまうのだ。
(後略)
⇒参照・引用元:『韓国[反日民族主義]の奈落』呉善花,文春新書,2021年04月20日第1版発行,p.86
呉先生の上掲の文は、韓国に歴史的な文物が残っていないことについての説明ですが、これは現在の状況にもぴったり当てはまります。
つまり、韓国では大統領選挙のたびに「王朝交代」が起こり、そこで行われることは昔から何も変わっていないと考えられるのです。
(吉田ハンチング@dcp)