韓国の外貨準備高が大きく減少しました。総計で85億ドルの減少です。
2022年05月04日、『韓国銀行』から2022年04月末時点での外貨準備高が公表されました。以下をご覧ください。
2022年04月
外貨準備高:4,493億ドル(約58兆4,629億円)※
(前月比:-85億ドル)<<内訳>>
⇒Securities 4,088億ドル(約53兆1,931億円)
(証券類)
前月比:-14億ドル⇒Deposits 163億ドル(約2兆1,210億円)
(預金)
前月比:-66億ドル⇒SDRs 150億ドル(約1兆9,518億円)
(IMFのSDR(特別引出権))
前月比:-4億ドル⇒IMF position 45億ドル(約5,855億円)
(IMFリザーブポジション)
前月比:-1億ドル⇒Gold 48億ドル(約6,246億円)
(金)
前月比:増減なし※円換算は2022年05月04日「1ドル=130.12円」のレートで算出
2021年01月から2022年04月までの韓国の外貨準備高の推移を見ると以下のようになります。
2022年04月、韓国の外貨準備高は4,500億ドルを割りました。
当月の注目ポイントは、なんといっても現金たるDeposits(預金)が66億ドル減っていることです。
前月の228億ドルから「28.5%」も減りました。激減といっていいレベルです。
しかし、これは貿易収支が減少していることから予測できたこと。韓国の場合、外貨準備を積むには貿易のもうけが必要です。通関ベースでは03月、04月と貿易収支は連続赤字ですので、外貨準備を積めなくなっています(国際収支統計は02月分までしか出ていません)。
そのため、先にご紹介したとおり、企業が外貨預金の取り崩しフェーズに入っています。外貨を温存しておけなくなってきているのです。
さらに当月の問題は……。
為替介入でドルを溶かした!
『韓国銀行』はこの外貨準備高の激減について、
(前略)
ㅇ米ドルの上昇によるその他の通貨外貨資産のドル換算額の減少、外国為替市場のボラティリティ緩和措置などによる
(後略)⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「2022年4月末の為替保有額」
と説明しています。
「外国為替市場のボラティリティ緩和措置」と正直に書いています。
つまり、ウォン安を阻止するために「ドル売りウォン買い」を行ったのです。その結果ドルが溶けました(ウォンに換わった)ので外貨資産の現金が減少したのです。
↑水色の上昇チャネルは週足で引いたものなので気にしないでください。
上掲は、ドルウォンの月足チャートです(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。
月足なので、1本のローソク足が1カ月の値動きを示しています。ご覧のとおり04月は無茶苦茶な陽線で、ウォン安がまさに爆進しました。
さすがに韓国の通貨当局も現金の取り崩しを行って通貨防衛しないと仕方がなかったのです。
貿易収支の減少、赤字化傾向で外貨が積めず、また通貨防衛で外貨が減少します。韓国は危なくなってきました。
(吉田ハンチング@dcp)