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韓国大統領室が「通貨スワップを米国と実質的に議論している」と公表。「実質的に」ってなんだ

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2022年05月18日、韓国・尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権の金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長は記者会見で、記者からの「米韓首脳会談で通貨スワップについての協議が進められるか」という質問に対して、

(前略)
実質的には(両国間で)議論がなされると考えてもいい」「米韓金融とか通貨、財政などについての議論だ」と述べた。

続いて「(米韓首脳会談で)金融と外国為替市場の安定などについて、米韓両国がどの危機にも迅速に協力できる方案を議論している」と付け加えた。
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国経済』「韓·美 “통화스와프 준하는 협력 추진”」

と答えたと『韓国経済』は報じています。

おかしな言い回しです。

「通貨スワップ」について議論されるのか?」という質問に対して、「実質的にはされる」という答えです。

「実質的には」ってなんでしょうか。注目ポイントは以下です。

(前略)
キム次長は「合衆国中央銀行(FED)は純粋に経済的な危機が深刻な状況でスワップという用語を使う」とし「韓国経済のファンダメンタルズがしっかりしているのに、その単語(通貨スワップ)を使うのは無理だと思う」と言った。
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国経済』「韓·美 “통화스와프 준하는 협력 추진”」

韓国の大好きな「通貨スワップ」という言葉は使わないし、使えないと言っています。その理由は、「連銀が経済危機になったら使う単語だから」としています。

韓国はメディアも含めてドル流動性スワップ(韓国側の呼称は「通貨スワップ」)を誤解しています。ドル流動性スワップはその国の中央銀行にドルの流動性を供給するものですが、経済危機 ⇒ 「この国はもうダメかも」と判断された信用低下による資金流出(通貨安) ⇒ ドル流動性スワップの提供による信用回復 ⇒ 「あ、大丈夫かも」と経済危機についての懸念の解消 ⇒ 通貨安が止まる――というフローで効果を発揮するものです。

合衆国がハードカレンシーを持つ5つの国と地域の中央銀行と常設のドル流動性スワップを締結してるのは、そのどれもが世界経済において重要な(使用量の多い)通貨であり、ドルの流動性不足のために極端なレートに傾いたり、経済危機になったりしたら合衆国も困るからです。

無期限・無制限のドル流動性スワップを常設しておくことで、ハードカレンシーを持つ国を「いざというときにはドルの無制限の提供がありますよー。大丈夫ですよー」としておくのです。すごく要約していえば合衆国自身のためです。

韓国のようないってこいの200%のうち2%しか使われていない通貨を持つ国とドル流動性スワップを締結することは無駄でしかありません。いや、それどころか、どのタイミングでドルを流されるものか懸念があります。リスクの方が大きいといえるでしょう。

それはともかく、韓国とドル流動性スワップを提供するにしても、合衆国からすれば「あんたのとこが経済危機になったら言いなさいよ」であるわけです。

金次長が「合衆国中央銀行(FED)は純粋に経済的な危機が深刻な状況でスワップという用語を使う」と言ったのは、恐らくそういう文脈でのことでしょう。

つまり、「通貨スワップ」とは言い出せないわけです。

金次長の認識からすれば、もし韓国が「通貨スワップ」と言い出せば、「なに? あんたのとこは今もう経済危機なの?」と合衆国に言われるかもしれない――ですね。

しかし、金泰孝(キム・テヒョ)次長は「金融と外国為替市場の安定などについて、米韓両国がどの危機にも迅速に協力できる方案」については議論はする――と言っています。

だから、実質的には通貨スワップを議論するのと同じだ」――という発言になったのではないでしょうか。それ以外に解釈ができるでしょうか。

もしこの解釈で正しいのであれば、「いや、それ同じですかね」と聞きたいところです。

韓国メディアであまりにも「米韓通貨スワップ」についての期待が盛り上がってしまったもので、政府もかわすのに苦慮しておかしな釈明になっている――とは見えないでしょうか。

「なんだこりゃ」というウォン安が進行していますから、「いや、通貨スワップについては話はしません」とは言えないのです。

なんだかややこしいことになってきました。

どうせ言うだけタダなので、妙な理屈をこねまわさず、門前払いされようが、正面から「通貨スワップいかがでしょうか?」とぶつけてみればいいのではありませんか。

「なに? あんたのとこは今もう経済危機なの?」と言われたら……そうですね……「もうじき経済危機に陥るかもしれないので今のうちに」と答えてみるのはいかがでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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