2022年05月に5年間の任期を終え、私邸のある梁山市に戻った韓国の文在寅前大統領。
退任時には「忘れられた人になりたい」「静かに暮らしたい」「猫と一緒に過ごしたい」など、田舎町で慎ましやかに隠居生活を送ることを望む発言をしていましたが、それは無理だったようです。
娘まで燃料を投下したデモ騒動
梁山市に戻った文前大統領ですが、待ち受けていたのは市民団体からの過激な抗議活動でした。
文前大統領の反支持者で構成された保守系市民団体が私邸の周辺で文前大統領を批判するデモを行ったのです。デモは文前大統領が私邸に戻った05月10日から2022年06月03日現在も継続中。
暴力的な言葉による攻撃は早朝から深夜まで続き、拡声器を使っているため周辺住民にまで被害が及んでいます。さすがに耐えかねたのか、文前大統領はFacebook上で周辺住民に謝罪し、「平穏と自由を壊している」とデモ活動を非難しました。
さらに、文前大統領の娘さんが「デモ隊は口で銃撃している」「私たちは家に閉じ込められたネズミ」といった内容をSNSで発信。
この投稿はすぐに削除されましたが、デモ隊にとっては新たな燃料投下になったのか、一向にデモ活動は収まる気配がありません。
警察に通報したとしても、韓国国内で定められた「デモ法」には違反してないとして、強硬な手段は取れない状態。05月30日には文前大統領夫妻がデモ隊のメンバーを「侮辱・名誉毀損」「脅迫」などを理由に告訴しましたが、まだ調査段階で事態に動きはない状況です。
こうした市民団体の活動は、左派政権だった文大統領の5年間で存在感を増しました。日本大使館前で行われた「水曜集会」などはまさにその最たる例で、文政権は市民団体をある意味「武器」として重宝してきました。
しかし、退任した今、その矛先が自らにむ向くくとは……大変にお気の毒な事態ではありますが、自業自得な面ががあることも否定はできません。
Twitterで味方を撃つ
文前大統領はデモ以外にも、世間の注目を集める「やらかし」をしてしまいました。それが「『いいね』事件」です。
事の起こりは2022年05月01日。文前大統領の公式Twitterアカウントがあるツイートに「いいね」を付けました。
そのツイートは「同じ考えです。あのクズのせいで復活したクッチムたちのせいだ」という内容。クズというのは李在明(イ・ジェミョン)さんを指しており、クッチムは「国民のお荷物」という意味で、与党『国民の力』をさげすむ意味のスラングです。
つまり、「李在明(イ・ジェミョン)のせいで『国民の力』(保守派)が復活してしまった」という批判に賛同の意を表してしまったのです。
先にご紹介したとおり、李在明(イ・ジェミョン)さんと文在寅さんは、遺恨があって仲はよろしくありません。しかし、形の上では一応二人とも『共に民主党』の党員で仲間です。
簡単にいえば「味方を撃ってしまった」ことになります。さすがにマズかったので、文前大統領サイドは慌てて「いいね」を取り消し。
Twitterを管理している担当者が誤って押したのかと推測されましたが、韓国メディア『朝鮮日報』によると「本人がtweetを見ている途中で誤って押した」と関係者から発表があったとのこと。
同じ「うっかり」でも――李在明(イ・ジェミョン)さんへの批判に余りにも賛同したので、うっかり押してしまった――というのが本当のところではないでしょうか。
表舞台から退き、田畑を耕しながら過ごすことを望んでいた文前大統領。
しかし、かつての自分の行いがあだとなり、デモ隊に振り回され、Twitterでもやらかしてしまうなど、静かな生活はまだまだ先のようです。
果たして文前大統領に平穏な日々はやってくるのでしょうか。
(大西トタン@dcp)