「中国との貿易で赤字に転落するかもしれない」という兆候は、韓国にとって非常に危険です。
これまで韓国は、中国への輸出で大儲けをしてきました。19年連続で最大の貿易相手国です。しかし、これにブレーキが掛かっているのです。
2022年06月の輸出実績で見ても以下のようになります。
主要地域別輸出金額
対中国:129.7億ドル(-0.8%)
対米国:97.8億ドル(+12.2%)
対EU:53.3億ドル(+2.4%)
対ASEAN:102.5億ドル(+16.7%)
対日本:26.5億ドル(+2.2%)
対中南米:23.2億ドル(-8.3%)※()内は対前年同期比の増減です。
主要地域別に見ると、対中国輸出は相変わらず最大ですが、ご注目いただきたいのは対前年同期比の増減です。
対米国、対ASEANで「+12.2%」「+16.7%」と大きく伸びているのに、一大消費地である中国で「-0.8%」となっています。
ロックダウン、サプライチェーンの混乱など理由はいろいろありますが、しかしこの減少は問題です。
決定的にまずいのは、肝心の「貿易での利益」が減少傾向にあり、これに歯止めがかからないことです。以下の数字をご覧ください。
2011~2015年平均:532.5億ドル
2016~2020年平均:380.0億ドル
2021年:242.8億ドル
2011~2015年の5年間で韓国が中国との貿易で年平均いくらもうけていたかというと「532.5億ドル」にもなります。
かっぱぎのボロもうけです。
ところが、次の「2016~2020年の5年間」になると、これが年平均:380.0億ドルに激減します。
さらに、2021年は242.8億ドルに減少。
2022年は上半期時点でわずかに「41.8億ドル」です。あと半年ありますが、2倍にしても「83.6億ドル」にしかなりません。
このままいくと、「2021年:242.8億ドル」ですから、2022年はなんと「対前年同期比:-65.6%」になるのです。
異常な減少という他ありません。
対中国での輸入増加が原因です
なぜ、このようなことになるかというと、輸出の増加より輸入の増加が多いからです。
貿易でのもうけを示す貿易収支は「輸出 – 輸入」で求めますので、輸出が増えても、それを上回るだけ輸入が増えれば、当然貿易黒字は減少します。
韓国は中国からの輸入が激増しているのです。だから、対中国貿易で利益を積めなくなってしまったのです。
例えば、韓国は2016年に中国とFTA(二国間自由貿易協定)を締結しましたが、結果どうなったかというと……輸出、輸入に締める中国の割合は以下のように変化しました。
輸入:17.2% ⇒ 21.2%
輸出は0.4%しか増えなかったのに、輸入は5%も増えました。FTA締結によって、韓国は中国からより多くを輸入する国になったのです。
中国は、かつては資本財・中間財を外国に依存してきましたが、これを国産化するよう努めてきました。また、技術レベルも韓国に追いつき、完成品も韓国から輸入しなくなっています。
一方、韓国の方は、例の「尿素水不足」に見られるように中国に資源輸入を依存し、太陽光発電セルのように「安いから中国製でいいや」と輸入を増やして自国企業を潰す、といった愚を犯しています。
こうして推移を見ると、FTAの締結自体が「待て、これは孔明の罠だ」みたいに見えてきます。
このまま中国の技術力が上がり続けると、誇っている半導体も中国から輸入することになるかもしれません。そのときには、中国は「対韓国貿易で黒字転換」となっているでしょう。
韓国は対中国貿易についてもっと危機感を持つべきです。悪いことに、ロシアが起こした無法な戦争によって、韓国は有望だったロシア市場にアクセスできなくなりました(『現代自動車』などが頑張っていた)。
韓国は自国の輸出についてあまり過信するべきではないのです。
(吉田ハンチング@dcp)