『大宇造船海洋』は、韓国の造船会社としては最大手三社のうちの一つです。
しかし、経営は傾いています。以下は2021年の業績ですが……。
総売上:4兆4,866億ウォン
営業利益:-1兆7,547億ウォン
当期純利益:-1兆6,998億ウォン
営業利益は「-1兆7,547億ウォン」。2020年終わりから「受注のジャックポット」と誇ってきたのですが、2021年の業績は上掲のとおり赤字でした。
赤字で困っている『大宇造船海洋』なのですが、追い打ちをかけるような事態が発生しているのです。
ストライキで造船用のドックを占拠
『大宇造船海洋』の下請け労組(全国民主労働組合総連盟金属労組の下請け支会)がストライキに突入しており、これが2022年07月11日時点でもう40日目となっています。
まずいことに超大型原油運搬船を建造中にドックを占拠しているため、作業が進められません。
『大宇造船海洋』側は、2022年06月にはストライキによって2,800億ウォンを超える損失が出たと明らかにしています。
また、韓国メディア『韓国経済』によれば、「ストライキが続くと、1日ごとに売上が260億ウォン蒸発し、固定費の損失も60億ウォン発生する」と従業員が述べているとのこと。
たまりかねた『大宇造船海洋』の経営サイドは、2022年07月11日、30人余りでソウル西大門区警察庁正門前において「下請け会社労働組合によるストライキを捜査してほしい」という訴えを行いました。
「ドックを占拠する不法ストライキを1カ月以上も行っており、生産設備を破壊し、職員を暴行している」とアピールしています。
ストライキを続けている労組側は「賃上げ交渉に応じろ」と要求していますが、『大宇造船海洋』がストライキを続けいてる労働者に賃金を支払っているわけではありません。
賃金は労働者が所属する『大宇造船海洋』の下請け企業が支払っています。ですから、そもそも要求する相手が違うのです。
労組側は自分たちが属する下請け企業側との交渉が平行線になったため、『大宇造船海洋』、またその大株主である『産業銀行』が表に立つように要求し、占拠を行っています。
端から見ている分には、無茶苦茶な話です。
ただでさえ経営が思わしくない『大宇造船海洋』にとっては災難という他ありません。韓国は労働争議が多すぎて生産拠点には向かないのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)