韓国の「通貨スワップへの信仰に似た思い」もはや「カルト」だ

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ウォン安が通貨危機レベルまで進行し、インフレは止まらず、貿易収支が減って外貨準備高も減少している――という韓国

韓国の識者、メディアからは「米韓通貨スワップを締結すべき」という悲鳴にも似た指摘(願望?)が上がっているのですが、『中央日報(日本語版)』が面白い記事を出しています。

通貨スワップカルト」というタイトルの記事なのですが、この「カルト」は「カルトムービー」などで使われるのと同じ「カルト」です。

つまり「韓国はなぜだか熱狂的に通貨スワップを支持している」といっているのです。

カルトムービーの場合には、「広く受け入れられる作品では決してないが、一部に熱狂的な支持者が要る映画」といった意味で使われますが、韓国の場合には「一部」ではなく、「広く熱狂的に通貨スワップが欲しい、欲しい」となっていますので、語源となった「カーゴカルト運動」に近く、本当に信仰のようです。

同記事から一部を以下に引用します。

(前略)
来週イエレン米財務長官が訪韓するため「ひょっとして」と期待する人たちが多い。

韓国銀行(韓銀)の李昌ヨン(イ・チャンヨン)総裁が一昨日の記者懇談会で通貨スワップの話をした。

通貨スワップは韓米間の問題というよりも、米国連邦準備制度理事会(FRB)がグローバル金融市場が揺らぐ時に世界的な観点で判断して決めるという説明が核心だった。

2国間交渉をうまくやれば締結できるというものではないという話だ。

(中略)

通貨スワップ常設化の主張はあまりにも早い。

米国はドルの動脈硬化を防ぐために流動性中心国と常設スワップを締結した。

ドルを扱う大型のグローバル金融機関が多く、自国の通貨が国際化している国だ。

韓国はこれに達していないのが実情だ。

通貨スワップに対する国内の過度な関心に、企画財政部と韓銀は大きな負担を感じている表情だ。

過去の通貨スワップ締結の成果を過剰広報した影響もある。誰々に米国の人脈があったなどの美談があふれ、通貨スワップの幻想を膨らませた。
(後略)

⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「【コラム】韓米通貨スワップカルト」

何度もご紹介していますが、『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)は自身の都合でドル流動性スワップ(韓国側呼称は「通貨スワップ」)を締結します。

自国通貨を供給しようという内容ですから、これは当たり前の話です。なぜ他人の都合で自国通貨を供給する必要があるのでしょうか。

韓国はこの点が全く理解できていません。相対的に物事を見ることができないので、「相手の考え次第で決まる事もある」というのが分からないのです。

危急時にドルの流動性を供給する相手は誰かといえば、それはドルとの交換が多い通貨を持つ国に決まっています。ですから、ドル流動性スワップの契約締結先は、ハードカレンシーを持つ国(と地域)の中央銀行になります。

すなわち、EU、イギリス、日本、スイス、カナダの5カ国です。

珍しく『中央日報(日本語版)』の同記事では「韓国はこれに達していないのが実情だ」とはっきり書いていますが、正しい認識です。

「韓国のウォンが基軸通貨になれる」などという噴飯ものの主張が出たときに、ご紹介しましたが、韓国のウォンは「いってこい」計200%の通貨取引の流れの中で、わずか2%のシェアしか持っていません。

論により証拠。『BIS』のデータを以下に引いてみます。

ベース通貨別取引量のシェア(2019年)
米ドル:88.9%
ユーロ:32.3%
日本円:16.8%
英ポンド:12.8%
豪ドル:6.8%
カナダドル:5.0%
スイスフラン:5.0%
人民元:4.3%
香港ドル:3.5%
ニュージーランドドル:2.1%
スウェーデンクローネ:2.0%
韓国ウォン:2.0%
シンガポールドル:1.8%
メキシコペソ:1.7%
インドルピー:1.7%
露ルーブル:1.1%
南アフリカランド:1.1%
トルコリラ:1.1%
ブラジル・レアル:1.1%
台湾ドル:0.9%
タイバーツ:0.5%
インドネシアルピー:0.4%
マレーシアリンギット:0.1%
その他:7.6%

⇒データ出典:『BIS』「Triennial Central Bank Survey of Foreign Exchange and Over-the-counter (OTC) Derivatives Markets in 2019」

これが「韓国はこれに達していない」という現実です。「韓国内でしか通用しない通貨を持つ国」の中央銀行とドル流動性スワップをかわす意味はないので、連銀は動かないのです。

「カルト」とはよくいったもので、韓国が「通貨スワップが欲しい」と熱望するのは、貨物を運ぶ飛行機を信仰するようなもの。

その飛行機は来ないのです。

イエレンさんは訪韓しない方がいいのではないでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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