2022年07月14日、韓国の産業通商資源部から「2022年上半期のICT輸出が史上最大を達成」というプレスリリースが出ました。
ICT(Information and Communication Technologyの略:情報通信技術)関連製品は韓国にとって輸出の主力です。
ICT関連製品の輸出は前年同期比18.9%増加した1,226億ドル達成
これまでの最高値(’21:1,030億ドル)を更新し、全体輸出増加を牽引
2022年の上半期は、前年と比較して「+18.9%」で、韓国史上最大の輸出金額「1,226億ドル」を達成した――とのこと。
それは喜ばしいことでしょうが、非常に興味深いデータがあるのでそれをご紹介します。
地域別に見たICT関連製品の輸出入です。
対中国での輸出は伸びが鈍化している
韓国はこれまでICT関連製品の輸出で中国をお得意さまにしてきました。半
導体、スマホなどはその代表的なものですが、韓国製のスマホはすでに中国市場でのシェアが1%を切っており、半導体も中国は「半導体崛起」を唱え、自由主義陣営国から独立する意思を明らかにして努力しています。
やがて、「韓国から輸入しなくてもいいや」というときが来ると予想されています。その兆候が現れていないでしょうか?
現れています。まず以下をご覧ください。
対中国の「ICT関連製品輸出」の実績です。
韓国の2022年上半期のICT関連製品の輸出は上掲のとおり、「1,225.49億ドル」で、このうち「44.4%」が中国(本土・香港)向け輸出なのです。
いかに韓国のICT関連製品にとっての巨大市場であるかが分かります(裏を返せば中国で輸出が減少すると困るわけです)。
ご注目いただきたいのは、対前年同期比の増減です。
全体では「+18.9%」の増加なのに、対中国での増加は「+11.9%」の増加にとどまっている点です。
次に輸入を見てみましょう。
ご注目いただきたいのは、やはり対前年同期比の増減です。輸入は「+18.1%」の増加です。
勘のいい方はピンときたかと存じますが、現在韓国で貿易黒字が減少しているのと同じ「輸出は増加しても、輸入がそれを超えて増加している」という現象が現れているのです。
輸出よりも輸入の増加の方が大きいですから、当然貿易収支は減少しています。もちろん、
貿易収支:228.90億ドル
とまだ赤字までは遠い結果です。しかしながら、これまでの経緯からいって、ICT関連製品でも中国が韓国の技術力に追いついたとき、これまでのようにもうからなくなる可能性はあるのです。
先述のとおり、韓国が誇るICT関連製品輸出の44.4%は中国向けです。これが減少したらどうなるでしょうか? あるいは貿易収支が赤転したら?
(吉田ハンチング@dcp)