韓国金融当局はインフレ対策で緊縮方向に動いています。2022年に基準金利を3.25%まで上げましたが、当然これに合わせて金融機関の預金金利・融資金利も上昇しています。
第1金融圏である市中銀行の預金金利は現在4%台(中には5%を超えているものもあります)。
融資金利も上がっており、ついに住宅ローン金利は8%に達しました。
2023年01月時点で『国民銀行』『新韓銀行』『ハナ銀行』『ウリィ銀行』の4大銀行の変動金利型住宅ローンの金利は、
です。韓国では変動金利を選択している人が多い(統計を取る時期によって変化はありますが普通70~80%)ので、変動金利の上昇はそのまま利払い負担増につながり、家計を圧迫します。
韓国の家計は可処分所得に対する元利払いの割合が非常に高いことが知られています。
2022年06月時点で韓国メディア『朝鮮日報』は「貸出金利が7%台まで上がったら…韓国人の月収の7割は住宅ローン返済に消える」という記事を出していました。
(前略)
民間の調査結果によると、金利が7%に上がれば、ローンを利用してソウルで標準的な専有面積84平方メートルのマンションを購入した人の毎月の元利返済額は300万ウォンに迫る見通しだ。
(後略)
月収の7割が消えるのではとても暮らしてはいけません。これは7%になれば……という想定だったのですが、ついに8%に達したのです。家計の負担は耐え難いものになっていると見なければなりません。
金融当局「融資金利を上げるんじゃない!」
このままではマズイので、韓国金融当局は金融機関に圧力をかけ始めました。またぞろ「貸し出し金利を上げるんじゃない!」です。
金融当局の動きをリポートした韓国メディア『ソウル経済』の記事から一部を以下に引用してみます。
(前略)
08日、金融圏などによると、金融当局は最近、市中銀行定期預金利子が年4%台で安定化する雰囲気で、一部の銀行の住宅担保ローン変動金利上段が8%を越え、融資金利の点検に乗り出した。与信金利の準拠となる銀行債金利と預金金利が安定化する状況で、貸出金利引き上げる要因がないと判断したためだ。
金融当局の関係者は「銀行債金利が低くなり、受信金利も下落しており、貸し出し金利が上がるような要因はない」とし「現在は貸し出し金利を引き上げる当為性がある状況ではない」と強調した。
「現在は貸し出し金利を引き上げる当為性がある状況ではない」と金融当局は金融機関に融資金利の引き上げを牽制しています。
家計の所得脆弱層が次々に飛ぶ、という事態にならないように金融当局も薄氷を踏む思いでしょう。
(柏ケミカル@dcp)