これも実に韓国らしい話です。
2024年01月23日、韓国『アシアナ航空』がソウル中央地裁に控訴取り下げ書を提出しました。
これは2023年08月17日に裁判所が判決を出した訴訟に対する上訴断念です。
ずいぶん前にMoney1でもご紹介した案件なのですが、そもそもは機内食を納品する『LSGスカイシェフコリア』が納品先の『アシアナ航空』を相手に起こした訴訟です。
『LSGスカイシェフコリア』は2007年からずっと5年契約で機内食を『アシアナ航空』を納めてきました。ところが、2017年になって、『アシアナ航空』が「契約を延長してやる代わりに、その親会社グループである『錦湖ホールディングス』に投資しろ」と要求。
しかし、『LSGスカイシェフコリア』はこれを拒否。
『アシアナ航空』は、それならと(よせばいいのに)中国『中国海南航空』との合弁法人『ゲートグルメコリア』を設立し、同社と機内食の提供契約を締結。しかも契約期間は30年というものでした。
当時、『中国海南グループ』は1,600億ウォン規模の『錦湖ホールディングス』の新株引受権付社債を引き受けました。これと引き換えにグループ企業が30年契約(!)を獲得したわけです。
『LSGスカイシェフコリア』は不当な契約解除だとして、『アシアナ航空』を提訴。損害賠償訴訟と一緒に「未払いの機内食供給代金」を求める訴訟を提起したのです。
で、上記のとおり2023年08月17日、裁判所は「被告は原告に182億7,615万ウォンを支給せよ」と原告『LSGスカイシェフコリア』の一部勝訴という判断を下したのです。
『アシアナ航空』は結果が不服として上訴してやる――と息巻いていたのですが、このたび諦めた――というわけです。
傑作なのは、本件に絡んで――韓国の公正取引委員会が2020年08月、『アシアナ航空』が『錦湖ホールディングス』の新株引受権付社債取引と機内食供給契約を一括取引で協議した点が違法と判断、課徴金320億ウォンを課し、パク・サムグ元錦湖アシアナグループ会長を検察に告発した――ことです。
系列会社への不正支援などの容疑で起訴されたパク元会長は、2022年06月に1審で懲役10年を宣告され、現在2審が進行中しています。
納品する下請け会社はオレたちの言うことを聞け、という実に韓国大企業らしい案件です。
(吉田ハンチング@dcp)