『韓国銀行』は興味深い中央銀行です。優秀な人材がそろっているのでしょう。
同行のサイトでは「海外経済フォーカス」というリポートを毎週公開しているのですが、2020年08月02日に刊行された最新「第2020-29号」にその優秀な人が書いたであろう「日本についての分析」が掲載されています。
これがなかなか面白いのです(以下はその表紙)。
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「海外経済フォーカス(第2020-29号)」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)(以下同)
ちなみに、『Yahoo!』に掲載された「『日本は海外投資により長期不況に耐えている…韓国も海外進出への積極的な支援必要』=韓国銀行」という記事の元資料もこれです。
韓国は赤字……日本が黒字なのはなぜだ
韓国は2020年04月に「経常収支」が赤字になりました。韓国にとってこれは国の屋台骨を揺るがすような事件だったわけですが、韓国にとって仇敵(笑)である「日本」はしれっと黒字でした。
「新型コロナウイルス騒動で韓国は赤字になったというのに日本が黒字とは許せん(?)」とばかりに、日本をそねむ(「うらやみ憎む」という意味)記事が韓国メディアに出たのは↓でご紹介したとおりです。
今回の「第2020-29号」に掲載されたリポートも基本同じスタンスで書かれたのではないでしょうか。
この延々19ページにも及ぶリポートの前段、「なぜ日本の最新の直接投資の状況を検討するのか」について以下のように説明されています。
日本は高度成長期からの継続的な海外投資を通じて、世界最大規模の海外純資産を蓄積しており、これを基に、これまでの長期間不況にもかかわらず、現在の経済的地位を維持している。
「現在の経済的地位を維持している」の部分に「うまいことやりやがって」という感情が表出しているようではありませんか。
リポートの中身自体は以下のように要約できます。
1.日本は高度成長期から海外への投資を積み重ねてきた
2.現在はその投資のリターンで大きな黒字を得るようになっている
3.投資の果実によって日本は経済的地位を維持できる
4.日本の最近の直接投資には変化が見られる。その変化とは以下のようなものである
①直接投資の規模が急拡大している
②アジア地域への投資では「アセアン諸国」への投資が急増している
③製造業のみならず非製造業での投資が徐々に拡大している
④中小企業の独自進出も活発である
この分析を受けての結論(示唆)は以下のようになっています。
韓国も長期間経常収支の黒字基調と低成長・低出産を経験しているという点で、海外進出を模索する企業について、その地域への進出が円滑になるように支援しなければならない。
また、コロナ19拡散後の安定したサプライチェーンの構築も重要になる。これに合わせて進出企業の本国回帰(re-shoring)、近隣国への事業移転(near-shoring)支援策も用意する必要がだろう。
企業が海外進出するということは国外にお金が出ていき、雇用が喪失することですが、その点は大丈夫なのでしょうか。また、少なくとも文在寅大統領が頑張っている限り「re-shoring」は不可能でしょう。
「日本がうまいことやりがった」のでおなかが痛いかもしれませんが、あまり韓国の参考にはならないのではないでしょうか。
(柏ケミカル@dcp)