何かデータはないかとネットを捜していると過去の面白い資料に行き当たることがあります。
韓国のシンクタンク、あの『韓国開発研究所』(KDI)※の資料で面白いものがあったのでご紹介します。2008-2009年の「韓国通貨危機」時のものです。
「韓国通貨危機」でのドル流動性スワップの利用
「韓国通貨危機」で韓国はドルの枯渇に直面しました。そのため「通貨スワップ」(一応韓国の表記に合わせて「 」でくくります)――アメリカ合衆国のFED(Federal Reserve Systemの略称:連邦準備制度)とスワップライン(ドル流動性スワップ)を締結し、総額164億ドルを調達しました。
これを韓国内の金融機関に回して外貨の流動性を確保(ドル不足を解消)したわけです。
このドル流動性スワップで調達したドルは『韓国銀行』の負債になるわけ(国際収支統計ではそう計上されている)ですが、では「韓国の外貨準備は増減する」のでしょうか。
これについて、『KDI』は2009年11月04日付けの「通貨スワップ[currency swap]」という記事で以下のように説明していした(記事の日付けにご注意ください/「韓国通貨危機」からまだ立ち直っていない時期です)。
同記事は、もともと「click経済教育」という経済教育専門誌の2009年02月号(通巻66号)に掲載されたものです。
(前略)
この他にも、外貨準備高の減少を抑制する効果もある。『韓国銀行』は、世界的に信用収縮が深刻化し、国内外貨資金市場が不安定になるにつれ、昨年(2008年:筆者注)10月と11月に続いて12月にも3回(2日、9日、22日)にかけて、米FRBとの通貨スワップ資金を活用し、競争入札方式の外貨融資を通じて104億ドルを供給した。
この通貨スワップ資金は外貨準備高に計算されないため、外貨準備高を取り崩さずに外貨流動性を供給する効果がある。
ドル流動性スワップを利用すると「外貨準備から資金が減らなくて済む」なので、その分「お得」という説明です。
しかし、外貨準備に影響しないかというと――実は『韓国銀行』の説明はそうはなっていないのです。
(柏ケミカル@dcp)