2022年07月26日、韓国のソウル回生裁判所は、『Woojing Energy Co., Ltd(ウンジンエネルギー)』に破産を宣告しました。
これは重要な結果です。同社は韓国に唯一残った、太陽光発電用途のシリコンインゴット・ウエハを製造する会社でした。
2019年に事実上の破綻に陥り、法定管理下に入ったのです。以降、企業再生に向けて「買収企業」を求めましたが、買い手は現れず、2022年06月には自身で「再生手続の廃止」申請を提出。回生裁判所がこれを認めて破産を確定させました。
この『ウンジンエネルギー』は、2006年にアメリカ合衆国の太陽光パネルメーカー『サンパワー』との合弁出資でインゴット・ウエハ事業を起こしました。
一時は非常に注目された企業だったのですが、破綻しました。
同社が破綻に追い込まれた理由は簡単で、価格競争力で中国企業に勝てないからです。
人件費の安さ、政府による補助金、電気料金の安さなどに支えられて太陽光発電用の素材、資材における競争力を獲得し、他の国を駆逐してきました。
ついに韓国に一社だけ残ったインゴット・ウエハ生産会社も潰れてしまったのです。
太陽光発電パネルは中国に握られた
太陽光発電パネルのバリューチェーンは大まかに、ポリシリコン ⇒ インゴット・ウエハ ⇒ 電池セル ⇒ パネル(モジュール) というものですが、今やこのほとんどを中国産が押さえています。
ドイツのリサーチ会社『ベルンロイターリサーチ』によると、世界の
インゴット市場の約95%
ウエハ市場の約97%
電池セル市場の約79%
モジュール市場の約71%
が中国に押さえられているのです。つまり、太陽光発電施設を造るとなると、中国にお金が積み上がる構造になっているのです。日本も同様で、大規模メガソーラー施設を造ると中国にお金を流すことになります。
韓国では、もはやポリシリコン生産企業もほとんど焼け野原です。今回『ウンジンエネルギー』がなくなりましたので、これで太陽光発電については、韓国におけるバリューチェーンの上流が枯れ果てたことになります。
このような状況の中、前文在寅政権はクリーンエネルギー政策として太陽光発電施設を乱造していたのです。
どうなるかは火を見るよりも明らかです。太陽光発電施設の建設に邁進するほど中国にお金が流れ、エネルギーインフラが中国企業頼みになっていくのです。
安全保障が聞いて呆れます。
ああ、もちろん日本も他人事ではないのです。
(吉田ハンチング@dcp)