以前にもご紹介したことがありますが、韓国の国民年金など社会保障関連の基金は火の車になってきました。基金の資金が枯渇するという懸念も深まっています。
人口減少が急速に進みますので資金枯渇の時間も、以前の推測よりも早くなるものと見られ、懸念も深刻なものとなっています。
老齢年金の方は事あるごとにご紹介しているのですが、今回は健康保険の方です。韓国は「低負担・低福祉」でこれまで回してきたのですが、健康保険も同じです。
しかし、健康保険基金もまた赤字が常態化しているのです。
全て閣下のせい
健康保険の赤字は文在寅大統領のせいです。正確には文大統領が推進した政策のせいです。
文大統領は、「文在寅ケア」という健康保険改革を推進しました。被保険者の医療費の負担率が40%だったものを30%に下げるという大胆なものでした。
「病院費の心配のない国にする」がスローガンでした。
日本の健康保険制度では窓口負担は通常「3割」ですが、つまり「韓国も日本に負けじ」と被保険者が同等の負担で済むようにしたのです。
その結果がどうなったかというと……健康保険基金を大赤字になりました。
韓国の健康保険基金は2017年までは曲がりなりにも黒字でした(2011~2017年まで7年連続で黒字)。
ところが文政権が発足直後の2018年にいきなり赤字に転落。2022年まで3年連続の赤字で、2021年には国民がコロナ禍で医療機関に行くのを忌避したため黒字化。しかし、2022年はそうはいきません。
興味深いテータがあります。
文在寅ケアは、高度医療のための検査を保険適用にしたのです。例えば、超音波・MRI(磁気共鳴画像)診療は2018年に健康保険給付対象となり、保険基金の支出は「1,891億ウォン」だったのですが、2021年には「1兆8,476億ウォン」に膨らみました。
3年でほぼ10倍になったのです。
確かに、高度な検査・診療を安価に受けられるのはいいことですが、このままいくと健康保険基金が維持できなくなるでしょう。
「病院費の心配のない国にする」というスローガンを掲げて基金が破綻し、「国民全員が医療費を全額実費で支払う国」になったら元も子もありません。
この後始末も尹錫悦(ユン・ソギョル)政権がしなければなりません。
「ホントにロクなことをしないなアイツは」と現政権の皆さんは歯ぎしりしているでしょう。文在寅大統領は新政権に何もかもを丸投げして颯爽と去っていったのでした。
去りゆく者はいつだって美しいですが、真に褒むべきは残って戦う者なのです。
(吉田ハンチング@dcp)