↑ソウルにあるロッテワールドタワー。高さは555m。超高層の呪いというは本当にあるのかもしれませんね。
Money1でもご紹介しているとおり、韓国企業は金利急騰による資金調達に直面しています。特に不動産開発についてのPF(プロジェクトファイナンス)絡みでお金を集めることが困難になっていることはご案内のとおりです。
先に少しだけご紹介した『ロッテ建設』の資金調達について、ドタバタの詳細が判明したのでご紹介します。
『ロッテ建設』救済でグループからお金をかき集める!
『ロッテ建設』は業界No.5の建設会社といわれますが、資金難に陥り、『ロッテ持株』(いわゆるホールディングカンパニー)の指揮によって資金手当てが行われました。
2022年10月18日、『ロッテ建設』は2,000億ウォン規模の新株発行しての資金調達、すなわち有償増資を発表。
『ロッテケミカル』は879億ウォン、『ロッテホテル』は861億ウォン、『ロッテアルミニウム』が199億ウォンを出すことになりました。
さらに10月20日、『ロッテケミカル』は『ロッテ建設』に3カ月期限で5,000億ウォンを貸し出すことも決めています。
つまり、『ロッテケミカル』は『ロッテ建設』に対して5,879億ウォンも突っ込んでいるわけです。
これでも足りないかったのでしょう、2022年11月になって『ロッテ建設』は、
『ロッテホームショッピング』から1,000億ウォン
を借り入れました。さらに、11月18日、『ロッテ建設』理事会は、
『韓国スタンダードオーチャード銀行』から1,500億ウォン
の合計3,500億ウォンの借り入れることを議決しました。『ロッテ建設』が満期にお金を返済できないときのために、グループ企業が資金を補填する約定も交わしています。
グループ企業を総動員し、銀行からもお金を入れて『ロッテ建設』の流動性を確保したという状況です。
『ロッテケミカル』から借入:5,000億ウォン
『ロッテ精密化学』から借入:3,000億ウォン
『ロッテホームショッピング』から借入:1,000億ウォン
『ハナ銀行』から借入:2,000億ウォン
『韓国スタンダードオーチャード銀行』から借入:1,500億ウォン
小計:1兆4,500億ウォン
投じられた報じられる金額は総計1兆4,500億ウォン規模に達しています。どれだけお金がショートしそうだったんだ、という話です。
当然格付けは落ちました!
このようなドタバタは、当然信用格付け会社も注目しています。
『リッツ証券』は『ロッテケミカル』目標株価をこれまでの24万ウォンから20万ウォンに下げました。
『ナイス信用評価』は、『ロッテケミカル』『ロッテ持株』『ロッテレンタル』の長期信用格付け見通しを「否定的」に下方調整。
『韓国信用評価』も『ロッテ持株』『ロッテケミカル』『ロッテショッピング』の長期信用格付け見通しを「安定的」から「否定的」に下げました。
※念のために付記しますが、韓国の『ロッテ持株』は日本の『ロッテホールディング』とは別会社です。
『ロッテケミカル』も有償増資でお金集め!
『ロッテ建設』に多額を投入することになった『ロッテケミカル』も実は資金が足りていません。
そもそも同社は『イルジン・マテリアルズ』の買収代金として2兆7,000億ウォンを用意しなければならない立場です。
この『イルジン・マテリアルズ』は、世界第4位の銅箔メーカーで『ロッテケミカル』にとっては買収を大きな意味を持ちます。銅箔は二次電池の重要材料の一つだからです。
例えば、市場調査機関『SNEリサーチ』は、全世界の銅箔需要が「2021年:26万5,000トン」から「2025年:74万8,000トン」に増加すると読んでいます。また、2025年には銅箔市場は14兆ウォンを超えると予想しています。
ことほどさように、『ロッテケミカル』にとって重要な『イルジン・マテリアルズ』の買収ですが、お金はあるのか?――です。
案の定、2022年11月18日、今度は『ロッテケミカル』自身が1兆1,000億ウォンの有償増資を発表。
『イルジン・マテリアルズ』の買収代金「2兆7,000億ウォン」のうち1兆7,000億ウォンは外部から借りるとしました。
――というわけで、もうグループ内からお金を集め、銀行には融資を頼みなどでドタバタです。
韓国でも有数の財閥である『ロッテ』でも、このように資金調達でドタバタしているのです。「大変ですね」という他ありません。
(吉田ハンチング@dcp)