2022年10月07日、アメリカ合衆国『BIS』(Bureau of Industry and Securityの略:合衆国商務省産業安全保障局)が「中国に半導体を渡すな」として強化した管理ルールを公表・施行しました。
高度な半導体、また半導体製造装置を中国に輸出することを禁ずるものです。
10月07日発行
以下の基準を満たす半導体の生産目的の場合、合衆国の輸出管理品目は中国への輸出はできない。・ロジックチップ:FinFET構造または16/14nm以下
:DRAM:18nm以下
・NAND型フラッシュメモリー :128段以上▪新しく管理対象に組み込まれた高仕様「蒸着装置」も輸出制限
▪中国企業には原則的に許可しない。
韓国企業のように中国内の多国籍企業には事案別に審査
素直に解釈すれば、韓国企業が中国に建設したファウンドリーへの製造装置なども供給できないことになります。ただし、「韓国企業のように中国内の多国籍企業には事案別に審査」という部分で救いがあったのです。
どうなったかというと……「とりあえず1年間は猶予してやる」という結果になったとのこと。
韓国メディア『韓国経済』から記事の一部を引用します。
(前略)
12日、業界によると、合衆国商務省は最近、『サムスン電子』と『SKハイニックス』に「今後1年間は中国生産工場に対する輸出規制を適用しない」という方針を公式通知した。『SKハイニックス』は「合衆国当局と1年間別途許可なしに装備を供給される方案に協議がなされた」と明らかにした。
(後略)
とりあえず、1年間は個別許可なしでも半導体製造に必要な装備を供給してもいい、となったようです。
ただし、これは「とりあえず助かった」であって、1年後にはぎゅうぎゅうやられるということです。
『SKハイニックス』が中国・無錫に造った最先端の半導体ファウンドリーなどは困ったことになりました。1年後、合衆国がどのように判断するのかなんの保証もありません。
上掲の記事でご紹介したとおり、2020年の時点でもうダメっぽかったのです。
2018年「ECRA」が施行され、米中の新冷戦で半導体が焦点になっていたにもかかわらず、中国に微細工程の工場を増設するという無謀な決定をしたせいです。
2020年の段階で脱出の準備を始めていなければならなかったのです。これは経営陣の考えなしに起因するものなので全くの自業自得。
さあどうするつもりでしょうか。
恐らく合衆国は、『SKハイニックス』のファウンドリーなんか飛んでも構うものか、と考えているでしょう。自国の企業でもありませんし、「逃げるための時間は十分に与えた」からです。
(吉田ハンチング@dcp)