2021年03月に、文在寅前大統領が「2033年ごろに姿を表わす3万トン級軽空母は世界最高水準の韓国造船技術で建造されるだろう」と述べました。
文政権では日本に負けないと「韓国型軽空母」の建造計画がぶち上げられたのですが、先にご紹介したとおり、2023年度の国防予算には、軽空母関連予算は全く計上されませんでした。
そもそも韓国海軍に空母など不要なので、韓国政府は正しい方向に舵を切ったのですが、諦めきれない方がいらっしゃるようで、いまだ建造議論がくすぶっています。
2022年09月19日、国会で国防委員全体会議が開催されました。この場で、金承謙(キム・スンギョム)合同参謀本部議長から非常に興味深い発言が出たのです。
そもそも軽空母建造に無理がある理由の一つは、アメリカ合衆国が垂直離着陸機であるF-35Bを売ってくれるのかどうか全然分からないことです。
載せる飛行機がないよー
もし見切り発射で空母を建造して「F-35Bが入手できませんでした!」なんてことになると、その空母は戦闘機を搭載できないドンガラ船になってしまいます。
それはそれで面白くはありますが、世界中から物笑いのタネになること必至です。
そこで、艦載機も自国で開発して空母に載せようという無茶な意見が出ています。
さすがに垂直離着陸機を今から開発というのは無理だと理解しているようですが、(まだ約1時間しか飛んでないのに)「KF-21 ポラメ」の艦載機型を作ったらどうだ?と、これまた無茶な話が出ているのです。
空母も中型にしたらどうだろうか
あんたたちはプラモデルでも作っているのかと聞きたくなりますが、韓国メディア『ソウル経済』の記事の一部を以下に引用してみます。
(前略)
金議長はこの日、国会国防委員会全体会議で艦載機の国内開発案がKF-21を念頭に置いたものかと尋ねたキム・ヨンベ『共に民主党』議員の質問に対して、「はい」と答えた。続いて、キム議員が「KF-21は垂直離着陸ができず、軽空母は中型空母に変わるのではないか」と指摘すると、金議長は「システム構造はどうしても変更できないので、検討が一緒に必要だ」と明らかにした。
(後略)⇒参照・引用元:『ソウル経済』「김승겸 합참의장, ‘KF-21 함재기형’ 개발 검토 시사…’경항모→중형항모’ 전환 가능성」
F-35Bを購入できなければ、垂直離着陸機として他に選択肢はありません。KF-21は垂直離着陸機ではありませんので、艦載型を作ったとしても今度は滑走路(甲板)のサイズが足らず、空母の大きさが「軽」では無理です。
そこで、軽空母ではなく「中型空母を建造しよう」なんて話になるわけです。
面白いのでぜひ挑戦していただきたい!
そもそも要らないので、そこまで無理する理由は「日本が空母を保有するから負けないようにウチも要るんだ」しか考えられませんが、このように今なお国防部でも空母に未練たらたらと見受けられます。
ただし、金議長は最後に「研究の結果で空母の仕様が決定されるので、今は確定的なことは申し上げられない」と述べ、「KF-21の艦載機化して中型空母を建造だ」というプランがいまだ研究中であると一線を引きました。
そこまで空母が欲しいのであれば、挑戦してみるのがいいでしょう。恐らく世界中の海軍から注目を浴びることになると思われます。
先にご紹介したとおり、KF-21の方もまだ時速400kmほどで約1時間しか飛んでいないのに不具合が頻発しており、普通に飛べるようになるまで、かなりの時間がかかると見込まれるのです。
その上、艦載機型なんて話になったら、完成はいつになるのでしょうか。
最悪の場合、中型空母はあるけど戦闘機なしのドンガラ船ができました――なんて事態があり得そうですが。
(吉田ハンチング@dcp)