韓国内で同時多発的「ドル求む」。政府は「80億ドル突っ込むぞ」少なっ!

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韓国の通貨ウォンがかつての通貨危機水準の安値進行を続けています。

こうなってくると「ドル供給」が心配になってきます。

外為・株式・債券市場の動向を見ていると、外国人投資家の資金が韓国から抜けています。外国人投資家はウォンをドルに換えて持ち出しますので、ウォン安を進行させると同時に資金流出です。


↑直近1カ月で外国人投資家はKOSPIで「1兆2,230億ウォン」の売り越し

⇒データ引用元:『finance.naver.com』「投資家別売買動向」

次に貿易。韓国は(通関ベースで)貿易赤字を継続しており、つまるところドルの出入りでいうと、出て行く方が多くなっていることを意味します。


↑直近2022年08月末までの貿易収支。貿易収支がマイナスということは外国に出て行くお金の方が多い。
⇒データ出典:『韓国 産業通商資源部』公式サイト

ですので、ドルの手持ちが減少しているはずです。外貨準備高を積むものは外国との取引ですので、これは当然の成り行きだといえます。


↑直近2022年08月末までの外貨準備高の推移。減少しています。外貨を積めなくなっていることを示しています。
⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」

また、ウォン安ということはドルの調達コストが上がっているという意味です。大企業でドルを温存しているなら別ですが、中小企業で決済用にドルが必要なところは相当厳しい状況になっていると予想できます。

実際、「1ドル=1,400ウォン」を突破して中小企業がバタバタと倒れるのではないかという、悲鳴なような記事が韓国メディアには出ています。

韓国通貨当局が「ドル供給」ラインの確保に必死の動き

止められないウォン安ですが、韓国の通貨当局はドルの供給に遺漏なきようにしなければなりません。ドル供給が枯渇しないようにというドタバタの動きが出ています。

まず、Money1でも先にご紹介した、『韓国銀行』と国民年金基金との「通貨スワップ」(一応「 」でくくくります)。これが決まりました。

国民年金基金が海外に投資するためのドルを『韓国銀行』が用立てようというのもので(国民年金基金のウォンと『韓国銀行』のドルを交換する)、これはウォン安を進行させないようとにすると同時に、市場のドルを吸い上げさせないようにする効果を狙ったものと思われます。

限度は100億ドルです。

こんなことやってると『韓国銀行』のドルがその分なくなるのですが、とりあえず目先のドル供給の方が先だと判断したようです。

だたし、この契約も2008年の韓国通貨危機時のように『韓国銀行』の方がドル不足になってきたら、即座に破棄するものを考えられます。

さらに興味深い動きがあるのです。

韓国政府は、韓国企業が海外に持つ外貨資産国内に還流させようと目論んでいます。

狙っている金額は「7,441億ドル」です。

韓国政府は、韓国企業の海外子会社が保有する金額を配当として国内に持ってくる場合には「非課税にしてあげるから」という法人税制改正法案を(一応)提出した状態です。

政府が民間企業の財布(しかも海外)をアテにしているというのは、「どれだけ外貨が不安なのか」と傍から見ていても呆れますが、国策銀行『輸出入銀行』が私募債を『サムスン電子』に押し付けてドルを調達したことがある国ですので、当然のことかもしれません。

韓国「国策銀行」がサムスンにドルを借りる恥ずかしい事態。そりゃ「通貨スワップ」を連呼するわけだ
2020年03月19日に『韓国銀行』はアメリカ合衆国のFED(Federal Reserve Systemの略称:連邦準備制度)とスワップライン※1(韓国の言い方では「通貨スワップ」)を締結。すぐさまドルの調達に入りました。この時期は世界的...

韓国メディアの報道によれば、

政府関係者は「海外配当所得の国内流入を非課税にすれば、かなりのドル資金が入ってくる可能性がある」と話した。

と、政府関係者が「フフフ」とほくそ笑んでいますので、本気マジなのです。こういうのをトラタヌというのではないでしょうか。

さらにもう一つ。

2022年09月25日、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官は「造船会社にドル売りの外国為替先物予約需要があるが、市場でうまく消化できず、都市銀行と国策銀行で消化できるようにさまざまな仕組みを用意する」と語っています。

どういうことかというと、造船業のように納品までに時間がかかる企業は、お代をもらったときに為替差損が出ないように為替先物予約を行うのですが、実は韓国内の金融機関は「為替予約」が限度枠いっぱいになってもう使えない――のです。

為替先物予約は、この場合、将来のある時にあらかじめ約束したレートでドルを売りますという契約です。これによって為替差損の発生を抑えるわけです。

しかし、これが使えないとなると造船企業は将来のリスクヘッジができません。ただでさえ赤字なのに、将来、船を納品してお代をもらったけど赤字でした――なんていう情けない事態に陥るかもしれません。

また、ドル売りができなくなると、外為市場に対するドル供給が細ります。すると、通貨量の比からいってドルの量が減るぶんウォンが安くなってしまうのです。

しかも造船業ですから金額は莫大です。

しゃーねーな、おい」というわけで、企画財政部が「なんか考えるよ、ちくしょー」となっているのです。

同時多発的「ドル求む」の手当てをしないといけない!

――というわけで、あっちでもこっちでも火がついており、韓国政府は年末までに「80億ドル」を供給する覚悟を決めた、とのこと。

読者の皆さんもスグに思われたでしょうが、「少なっ!」です。そんなもので、この同時多発的「ドル求む」の手当てができるのでしょうか。

また、問題は「ドルを自前で確保できるんだろうな」です。

どこかから借りてきて、その償還に行き詰まると、韓国政府の「今そこにある危機」になってしまいます。

韓国当局の奮闘にご注目ください。

(柏ケミカル@dcp)

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