本当にそうだといいですが……という話です。
韓国企画財政部の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官がフィリピン・マニラで開催されている『アジア開発銀行』の年次総会に出席しています。記者からの質問に興味深い回答を行っていますのでご紹介します。
韓国メディア『韓国経済』の記事から、秋長官の言葉を以下に引用します。
30日、アジア開発銀行(ADB)年次総会に出席したフィリピン・マニラを訪問した秋副首相は記者らと会い、「韓国で経済危機が再現される可能性は非常に低い、というのが外からの見方だ」とし、このように明らかにした。
(中略)
秋副首相は引き続き「韓国には膨大な外国為替保有額(外貨準備高のこと・引用者注)があり、経常収支も大枠で大丈夫だ」と最近提起される懸念し過ぎと見た。
それと共に「合衆国の金利引き上げで短期的に一部資本の動きが起こることがあるが、基本的に危機状況が再現される可能性はないと思う」と強調した。
秋副首相は韓国が国内総生産(GDP)規模の25%を外国為替保有額として持っているという点を根拠に提示した。
(後略)⇒参照・引用元:『韓国経済』「한국 제2 외환위기 위험?…추경호 “가능성 매우매우 낮다”」
※強調文字、赤アンダーラインは引用者による/以下同
企画財政部の長官なので口が裂けても「危ないです」なんて言うわけはありませんが、「危機状況が再現される可能性はない」と明言しています。
大丈夫な理由として、
・経常収支が黒字で堅調であること
の2つを挙げています。
面白いのは「経常収支も大枠で大丈夫」という発言です。
「大枠で」ってなんだと思わないではありませんが、秋長官は以下のように発言しています。
「『韓国銀行』の見通しによれば経常収支は今年360億ドル程度だが、年間300億ドル以上にはなるだろう」
⇒参照・引用元:『韓国経済』「한국 제2 외환위기 위험?…추경호 “가능성 매우매우 낮다”」
※強調文字、赤アンダーラインは引用者による/以下同
つまり、(2021年よりは縮小するだろうが)年間300億ドル以上の黒字にはなるから心配いらない――という意味のようです。
この口ぶりでは、秋長官(あるいは企画財政部)は「『韓国銀行』の予測である360億ドルまではいかない」と読んでいるようです。
しかし昨年、2021年には、経常収支は以下のように「883億220万ドル」あったのです。
↑黄色でフォーカスしているのが2021年の経常収支。「883億220万ドル」でした。⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
「300億ドル」だとすると、583億ドル(約8兆4,384億円)も経常収支が減るのです。
「300億ドルはいけるだろう」ではありません。ちっとも大丈夫のようには思えませんが。また外貨準備高が本当にいざというとき役に立つのかも心配です。
(吉田ハンチング@dcp)