韓国では、2022年09月23日、『国民年金』と『韓国銀行』の間で「通貨スワップ」(FX swap)が成立しましたが、これは一つのドル安対策です。
『国民年金』がウォンを、『韓国銀行』がそのウォンと等価のドルを用意して、これを交換しますが、『国民年金』に「ドル買い」を行わせないことで、ウォン安の進行を進行させないとする狙いがあります。
海外に投資するために『国民年金』が市場でウォン売りドル買いを行うと、ウォン安が進行します。しかし、『韓国銀行』が手持ちのドルを提供すれば、その分のウォン安を進行させないで済むというわけです。
『韓国銀行』としては手持ちのドルがなくなるので、いくらウォン安対策だとしてもあまりドルを提供するのは勘弁してもらいたいところでしょう。もちろん上限が決まっていて、2022年末までに実施されるものについてで100億ドル限度です。
韓国通貨当局はウォン安防衛で巨額のドルを溶かしており(以下の図①)、外貨準備高も急減しています(図②)。
↑図①。2022年の上半期、韓国外為当局は計「237億2,000万ドル」を売り越しました。通貨防衛のためにドルが溶けました。
↑図②。『韓国銀行』の公表によれば09月末時点で韓国の外貨準備高は「4,168億ドル」。
ドルが足りなくなってきたと懸念されるのか、韓国の識者が非常に面白い提案を行っています。韓国メディア『フィナンシャルニュース』の記事から一部を以下に引用します。
(前略)
朴先任研究委員は「国民年金が保有する米国国債規模を正確に把握することは難しいが、ほぼ昨年末基準で170億ドル水準に達すると推定される」とし「国民年金が米国国債を担保に海外買戻条件負債権(RP)市場でドルを確保し、韓銀に融資すれば韓国の外国為替保有額(外貨準備高の意味:引用者注)が増える効果があるだろう」
と分析した。
スゴイご意見です。『国民年金』は自身が保有する国債をカタにして外貨を借り『韓国銀行』に貸せ――と言っています。
こんな手を使って外貨準備を増やす中央銀行があるでしょうか(しかも自身を先進国と称している)。『国民年金』は少しでも政府負担を減らし、年金基金のお金を少しでも増やすために海外に投資しているのです。
その『国民年金』がなぜ国債をカタにお金を借りなければならないのでしょうか。
そこまでして外貨準備高を積まなければならないほど、韓国には外貨がないのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)