『韓国銀行』から「2022年08月の国際収支統計」が公表されたのですが、今回のデータの中に非常に興味深いデータがあります。
まず、「金融収支」全体です。公表されたデータから切り出した以下をご覧ください。
↑黄色にフォーカスしてあるのが08月の金融収支。▲はマイナスの意味です。2022年08月
金融収支:-6億1,080万ドル
金融収支がこの08月にマイナスに転じました。2021年の04月以来のことです。まず、これが気になる点ですが長くなるので本題にいきます。
154億ドルも借りています
この金融収支の中の「証券投資(Portfolio investment)」の中の「債券(Debt securities)」を見てみます。ここに計上されるのは、「債券への投資」で海外と自国でいくら金額の取引があったのか、その増減です。
直近の債券投資の「負債の部」、その中の「長期債券(Long-term debt securities)」※を切り出してみると以下のようになります。
ご注目いただきたいのは、黄色でフォーカスした「韓国政府」(General government)のセルです。
以下のような金額になります。
01月:36億9,310万ドル
02月:26億6,100万ドル
03月:8億1,520万ドル
04月:13億8,260万ドル
05月:28億250万ドル
06月:5,180万ドル
07月:24億530万ドル
08月:16億1,490万ドル
計:154億2,640万ドル
金融収支の負債の部は、負債の増減を示しており、「+」なら負債増。負債が増えているということは、外国からお金を調達している(借り入れている)わけで、キャッシュインですが借金増です。
逆に「–」なら、その分負債が減少していることを意味します。つまり、外国に負債を返しているわけで、キャッシュアウトですが借金減です。
すなわち、「韓国政府」が長期債券(償還は1年超先)によってこれだけ負債を増やしたことを意味しています。
海外からの借り入れであり、資金調達です。
韓国政府は外国から「約154億ドル」も資金調達を行っているのです。
資金調達をしまくりの現状
さらに面白いのは、「短期債券」(Short-term debt securities)の部です。以下をご覧ください。
↑中央銀行(Central bank=『韓国銀行』)と韓国政府に黄色でフォーカスしています。▲は同じくマイナスの意味です。
1年以内に償還しなければならない短期債券において、『韓国銀行』はマイナスばかりで、韓国政府も04月と05月はマイナスです。
上記のとおり、「-」は負債の減少を意味しますので、2022年に入ってから『韓国銀行』はせっせと海外に借金を返済しているのです。
また、韓国政府は04月と05月で「15億3,540万ドル」の負債を減らしましたが、その他の6カ月は「+」なのでやっぱり海外から短期債券によって資金を調達しているのです(計11億6,380万ドル)。
「吸って~、はい、吐いて~」みたいな状況です。
韓国政府は、債券によって海外から資金調達をやたらに行っています。下世話な言い方をすれば「借り倒しとるやないか」なのです。
収支で見てもすごい負債増になる
「資産も増えてるだろう」という当然のご指摘があるかもしれませんが、資産と負債の収支を出してもやっぱり負債が激増しているのです。以下が「長期債権」における韓国政府の収支(資産 – 負債)です。
2018年:-44億5,170万ドル
2019年:-125億9,790万ドル
2020年:-104億7,780万ドル
2021年:-332億3,560万ドル
マイナスなので、その分だけ負債が増加したことを示しています。前文政権の2017~2021年だけ切り出してみましたが、このように純負債増という結果です。
特に驚くのは2021年に「332億3,560万ドル」も長期債券において負債が増加していることです。
総じていうと、韓国政府は海外からの資金調達に勤しんでいらっしゃるのです。これは返済しなければならない借金です。
(柏ケミカル@dcp)