韓国では国政監査のシーズンですので、興味深い事実が次々と明らかになっています。
2022年10月19日、注目の組織が国政監査を受けました。『韓国投資公社』(略称:KIC)です。韓国ウォッチャーであれば、この公社の動向は見逃せないのです
『KIC』は2005年07月01日に設立された、「韓国政府、『韓国銀行』、公的資金から委託された資産の管理」を行う公社。韓国の外貨準備高の一部を運用しています。
自身の機能について『KIC』は以下のように説明しています。
Facilitate the overseas investment of public funds
公的資金の海外運用を促進するSupport the overseas investment of the excess capital of foreign reserves, pension funds and public funds
外貨準備高、年金基金、公的資金の余剰資金の海外運用を支援する⇒参照・引用元:『KIC』公式サイト「Background」
今回の国政監査で明らかになったのは……以下に『朝鮮日報』の記事から一部を引用します。
2,000兆ウォンを超える資金を運営している韓国国家ファンド『韓国投資公社(KIC)』が今年に入ってグローバル証券市場の下落などで-13.9%の収益率を記録中だ。
損失額は約40兆ウォンに達する。
(前略)
ジン・スンホ『KIC』社長は、19日、国会企画財政委員会の国政監査で「今年08月末現在、284億ドル(約40兆4,000億ウォン)の投資損失が発生した」と明らかにした。昨年末、2,050億ドル(約293兆ウォン)だった運用資金規模が、08月末には1,766億ドル(約252兆ウォン)に減った。
(後略)
『KIC』の投資損失がすごいことになっています。2022年01~08月時点で「-13.9%」です。『KIC』は韓国内への投資は行わず、外国一本槍。アメリカ合衆国市場の株安、債券安の影響を被ったのです。ただ、これは市況ですので上昇局面に転じれば取り戻せる話。
問題は外貨準備高への影響です。
『KIC』が運用しているのは一部とはいえ、外貨準備に計上されているSecurities(証券類)も毀損されているはずです。
なぜ外貨準備高は減少しないのかというと、先にご紹介したとおり韓国が時価ではなく取得原価で計上しているからです。
外貨準備というのは、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)の定義によれば「緊急時にすぐに使用できるもの」。
韓国は時価計算していないので、緊急時に本当にその金額使用できるのか分かりません。例えば、取得原価で計上し100億ドルだったSecurities(証券類)が、緊急時、現金に換えようとした際、時価で70億ドルであれば、表向きの金額の7割にしかならないことになります。
もちろん極端な話ではありますが、韓国の場合、そのようなことがあり得るのです。韓国の外貨準備高が「本当にその金額分あるのか」と疑念を持たれるのは、時価計算されていないというのも理由の一つです。
(吉田ハンチング@dcp)