2022年10月25日に行われた日韓外交次官会談について、韓国外交部の定例ブリーフィングで記者から「いわゆる徴用工問題」の件で質問が出ました。
日本メディア『朝日新聞』が「韓国側は、『日本製鉄』と『三菱重工業』の両社が賠償額と同額を寄付などの名目で拠出する案を打診した」と報じたからです。
焦点は「1965年の日韓請求権協定によって、日本には朝鮮半島に対する債務はもうない」という点ですので、「寄付であれば賠償にならない」というトンチを出したわけです。
『日本製鉄』と『三菱重工業』からすれば、どういう名目であれ「お金を出せ」というのは同じですが、とりあえず日韓請求権協定の法理は守る案だというのでしょう。
10月27日に韓国外交部が出したプレスリリースから以下に引用します。
<質問>
日本のメディアの報道について確認をお願いします。韓国側が徴用賠償問題(原文ママ:引用者注)に関連して、日本の被告企業に寄付を要求し、水面下で打診したという報道がありましたが、これに関して確認をお願いします。また、政府の立場がどのようなものなのか気になります。
(『メディアペン』キム・ソジョン記者)<回答>
昨日、東京で日韓外交次官協議会が開催されました。当協議でも日韓両国は特定の一つの案を置いて協議したことはありません。現在まで、強制徴用に関する解決法においては、まだ何も決定されたものはありません。ただし、韓国政府はこれまで民間協議で議論されたさまざまな事項と被害者の立場を日本側に随時伝達してきており、これを基に日本側の誠意ある呼応を促しています。
今後も国内の多様な意見を収束していく中で、より合理的な解決策を検討し、日韓外交当局間にも緊密に疎通していく予定です。
<質問>
それでは追加の言葉をもっと見てみましょうが、今回少しでも進展した内容があったでしょうか?
(『メディアペン』キム・ソジョン記者)<回答>
今回の日韓外交次官協議会は、これまでの高位級そして国首級、各級での協議チャネルを通じた外交的協議の一環です。続いて、これまで日韓両国関係が改善される傾向にあり、そのような傾向に応じて強制徴用の解決法を設けるための両国の外交的努力が加速化し続けていることをお知らせします。
(後略)
「韓国政府は水面下で寄付を要求するという交渉を行ったのか?」という記者からの質問に対して、報道官はまともに答えていません。
逃げました。
イエスかノーかで答えられるものを「特定の一つの案を置いて協議したことはありません」とはぐらかしています。その上でお決まりの「日本には誠意ある呼応を促しています」と述べました。
もし、なかったのなら明確に「ありませんでした」と回答できそうなもので、『朝日新聞』の報道は本当なのではないでしょうか。韓国側にはトンチを出すぐらいしか手がないのは確かです。
(吉田ハンチング@dcp)