2022年12月01日に韓国関税庁から通関ベースでの輸出入動向が公表され、8カ月連続の貿易赤字が確定しました。
韓国は輸出で成り立っている国なので、貿易で大きな黒字が出ないとすぐに国が傾きます。
ドボン騒動を起こした1997年アジア通貨危機、その前には『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)が進駐しなければならなくなるような事態が検知されていました。
今回は、その異常事態についてご紹介します。信じられないかもしれませんが、韓国は1996年01月から1997年04月までの16カ月連続で貿易収支が赤字でした。
現在問題になっているような通関ベースではありません。国際収支統計の貿易収支で赤字です。以下をご覧ください。
↑黄色でフォーカスしてあるのが貿易収支。▲はマイナスの意味です。貿易収支の推移
1996年01月:-15.8 億ドル
02月:-14.8 億ドル
03月:-10.7 億ドル
04月:-14.6 億ドル
05月:-10.5 億ドル
06月:-8.5 億ドル
07月:-17.0 億ドル
08月:-29.0 億ドル
09月:-7.7 億ドル
10月:-18.6 億ドル
11月:-18.4 億ドル
12月:-7.8 億ドル
1997年01月:-28.1 億ドル
02月:-23.9 億ドル
03月:-7.2 億ドル
04月:-11.0 億ドル⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
上掲のとおり、16カ月連続で貿易収支は赤字です。
このような赤字で経常収支が黒字になるわけはなく、貿易収支のすぐ左の列が経常収支ですが、
経常収支の推移
1996年01月:-21.6 億ドル
02月:-20.3 億ドル
03月:-16.9 億ドル
04月:-21.5 億ドル
05月:-16.9 億ドル
06月:-14.7 億ドル
07月:-20.5 億ドル
08月:-35.1 億ドル
09月:-12.0 億ドル
10月:-24.9 億ドル
11月:-24.9 億ドル
12月:-15.3 億ドル
1997年01月:-34.9 億ドル
02月:-30.4 億ドル
03月:-11.6 億ドル
04月:-18.5 億ドル⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
とやはり連続赤字です。まさに「なんだこりゃ」ですが、このような状況では外貨が出ずっぱりになってもつわけはありません。
なぜ国が回っていたかというと、その答えは「金融収支」の方に現れています。以下をご覧ください。
↑黄色でフォーカスしてあるのが金融収支。▲はマイナスの意味です。金融収支
1996年01月:-14.1 億ドル
02月:-21.8 億ドル
03月:-14.0 億ドル
04月:-21.2 億ドル
05月:-22.8 億ドル
06月:-23.4 億ドル
07月:-24.1 億ドル
08月:-30.6 億ドル
09月:-7.2 億ドル
10月:-28.9 億ドル
11月:-14.8 億ドル
12月:-11.9 億ドル
1997年01月:-29.6 億ドル
02月:-25.5 億ドル
03月:-33.0 億ドル
04月:-15.4 億ドル⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
同時期の1996年01月から1997年04月まで、金融収支は同じく真っ赤です。
金融収支がマイナスということは資産よりも負債が増えていることを意味します。外国からお金を入れてもらって負債を増加させ続けたのです。
つまり、経常収支の赤字を金融収支の方の負債増で補った――外貨の出ずっぱりを負債増の外貨流入でまかなうという、「アメリカか!」みないな状況を続けていたのです。
当然、韓国はアメリカのように信用がある国ではありませんので――放漫経営を続けた企業がお金を借りられなくなって倒れ始めると、外国が韓国にお金を入れなくなり、資金を引き上げて――ロールオーバー(借り換え)もできなくなって「おしまい」となったのです。
韓国政府が『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)に白旗を掲げたのは1997年11月でしたが、そこに至ったのはこのような構造で国を回していたからです。
ローカルカレンシー国が調子に乗って無茶なことを行っていたせいですが、そもそもは「貿易立国」を目指して邁進してきたのに貿易収支で赤字の連続となったのが根本原因です。
実は、韓国は構造自体今も大して変わっていません。ですから、国際収支統計で貿易収支が赤字になって借金で回しだすと危ないのです。また、韓国が外国の信用格付けを異常に気にするのは、それが資金流出につながると分かっているからです。
さらには、やたらと「通貨スワップ」を連呼するのは「脆弱なローカルカレンシー国である自らの信用を補完してくれる = ケツモチになる」と理解しているからです。
というわけで、まもなく公開される2022年10月の国際収支統計に要注目です。
(吉田ハンチング@dcp)