2022年12月05日、韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は「貿易の日」ということで、ソウル貿易センターCOEXで開催された「第59回貿易の日記念式」イベントに参加しました。
第20代大統領室のプレスリリースによれば……。
(前略)
尹大統領は祝辞を通じて「輸出はいつも我が経済の心強い支えであり、韓国経済の根幹であり雇用の源泉」と強調し、「2026年に輸出5大強国に跳躍するため大統領が直卒する『輸出戦略会議』 と『ワンストップ輸出・受注支援団』などを通じて政府の全ての輸出支援力量を結集する」と明らかにしました。また、「今後、首脳外交は徹底的に韓国企業の輸出促進と海外進出に焦点を合わせて進め、チームコリアを十分に活用し、原発・防衛産業・海外インフラを新たな主力輸出産業として積極的に育成する」と述べた。
(後略)
と熱弁を奮ったようです。
大統領が直卒する会議を設けて「2026年には5大輸出強国に跳躍する」とのことです。
また、これまでは「原発と防衛産業を抱き合わせで営業する」だったのですが、これに「海外インフラ」が加わりました。これは、先にサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が訪韓した際に好感触だったことを反映したものと思われます。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の熱弁を助けるように、産業通商資源部は「韓国の2022年の輸出額は6,800億ドル超と過去最高を記録し、昨年7位だった世界順位も4年ぶりに6位に盛り返す」と見通しを明らかにしています。
しかしです……輸出額がいくら伸びても、6位どころではなくたとえ1位になったとしても、問題は「貿易でいくらもうかるのか」です。
もう何度だっていいますが、貿易収支が十分に大きな黒字でなければ韓国は国が傾きます。
現在の危機的な状況も結局はそれこそが根っ子にある問題なのです。
「新天地」でかっぱぐぞ!という話
興味深いのは、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が「中東、中南米、アフリカなどの成長潜在力の高い新興市場と新規自由貿易協定(FTA) を推進して、私たちのFTAネットワークをさらに拡大する」などと述べている点です。
中国市場で儲からなくなってきたので、中東・中南米・アフリカなどの新興国地域の市場を開拓しようというのです。FTAをかわせば関税障壁を可能な限り減らせますから、これらの地域から荒稼ぎしようという魂胆です(笑)。
トルコのように対韓国で赤字が大きくなりすぎて「もう韓国とのFTAなんかやめちゃおうかなぁ」と嫌がられることにならないか、今から心配ではあります。
とにかく韓国という国は、やりすぎて大失敗という結果を招きがちな国です。かつての中東建設ラッシュはまさにそうでした。
ただ、現状を打破するにはどこか新市場(中国に代わって旨味のある市場)を取らないと仕方がないのです。頑張っていたロシア市場はプーチン大統領のおかげで全ボツになりましたし。
韓国がうまく輸出市場を開拓できるかどうかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)