考えすぎではありませんか、という話です。
先にご紹介したとおり、韓国に物流大乱を招いた『民主労総公共運輸労組貨物連帯本部』(貨物連帯)のストライキは、貨物連帯側の完敗に終わりました。
これについては韓国ウォッチャーからも「あの民主労総が白旗とは!」と驚きの声が上がっているのですが、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権になって潮目が変わったということでしょう。ストライキが国民からの支持を集めていないことを見て取った『共に民主党』も日和ったので政治的に完敗でした。
しかし、この白旗に業を煮やしているのは左派・進歩系の勢力です。
韓国メディア『ハンギョレ』に面白い記事が出ています。
貨物連帯が白旗を上げたその日に、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は経済団体(つまりは経営者側)を集めて祝杯を上げやがった――というのです。
注目いただきたい最後の部分だけ記事から以下に引用してみます。
(前略)
貨物連帯が安全運賃制の恒久化と対象拡大を要求し、ストライキを行った。尹錫悦(ユン・ソギョル)政府は制度導入以後に貨物車事故が減らなかった、と安全運賃制は効果がないと主張した。
拙速な分析であり、無理な統計解析だった。
ところが、これを聞いて対話を回避すると、貨物連帯がストライキに入ると決めたと強硬対応をした。
労働者が結局手を挙げた。
業務開始命令による刑事処罰と資格取り消しの脅威、長くなるストライキによる生計困難に耐えられなかったのだろう。
全ての問題がほぼそのまま残っているが、政府は安全運賃制を完全に廃止するという。
貨物連帯を屈服させた日の夜、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は経済5団体のTopを官邸に招待して非公開の晩餐を行った。
乾杯の理由が何だったのか気になる。
大統領は力のない弱者と戦って勝ったと思うのだろうか?
貨物連帯が白旗を上げたその日に、経営側の人たちと会って晩餐会を開き祝杯を上げやがった――と印象付けようとする書き方です。
例えば『インフォマックス』によると、以下のような具合です。
02日、大統領室などによると、ユン大統領は去る09日チェ・テウォン『大韓商工会議所』会長、ソン・ギョンシク『韓国経営者総協会』会長、キム・ギムン『中小企業中央会』会長、グ・ジャヨル『韓国貿易協会』会長、チェ・ジンシク『韓国中堅企業連合会』会長と大統領府で夕食会を行った。
『全国経済人連合会』側は晩餐に招待されていないという。
(中略)
この晩餐で尹大統領と出席者は、韓国経済の成長傾向が鈍化する状況で、政府と企業が力を集めなければならないという共感を形成したと伝えられた。
尹大統領は規制緩和の意志を伝え、難しい状況の中でも投資と雇用を拡大してほしいと要請した。
経済団体長らは、法人税率引き下げ法案の国会通過の必要性を説明し、政府が原則を守って貨物連帯(民主労総公共運輸労組貨物連帯本部)運送拒否問題を解決したことに対して感謝の意を表したことが分かった。
この報道では経済団体に対して、投資と雇用の促進を依頼したことになっています。経済団体Topは政府が原則を守って貨物連帯のストライキを終わらせたことに感謝した、となっていますので「終わってよかった」という祝杯は上げたかもしれませんが、「勝った!」という祝勝会のようなものではなかったのではないでしょうか。
ともあれ、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権を倒したい左派・進歩系の皆さんはこれからも尹政権の施策に対してあれやこれや難癖をつけるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)