こういうのを「ちゃぶ台返し」というのです。
韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が、前文在寅政権がレガシーと誇ったいわゆる「文ケア」をなかったことにしょうと動き出しています。
文在寅ケアの致命的な失敗
この文ケアは、文在寅政権が国民の健康を守る医療改革として、大上段に振りかぶって実現したもので、これまで保険医療の対象外だった超音波・MRI(磁気共鳴画像)といった高度な診察についても保険適用とするなど、大鉈をふるいました。
↑Google Chromeの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。/以下同
上掲は、文在寅政権の最末期に、大統領府自らが5年間の成果を誇るために実施したアンケートです。呆れることに、このアンケートは「文在寅政府の優れた成果はなんだと思いますか? 次の中から選んでください」というもので、否定的な回答を受け付けないものでした。
器の小さな男だなぁと思わざるを得ませんが、この回答の選択肢の中にも「文在寅ケア、病院費の心配がないように」という項目が入っていました。
つまり、大統領が自身の成果として誇るべきものと考えていたわけです。
しかしながら、この文在寅ケアなるものを導入した結果、どうなったかというと……Money1でも以下の先記事でご紹介したとおりの大赤字を作ることとなったのです。
これは当たり前の話です。
保険診療の医療費における窓口負担をそれまでの「4割」から日本と同じ「3割」に下げましたので、その分基金が負担しなければならなくなりました。
また、文大統領が自慢して去っていった「MRI検査が保険で受けられるようになりました!」のおかげで、MRI検査についての保険基金の支出は、
2021年:1兆8,476億ウォン
と10倍に膨らみました。
Money1でもしつこくご紹介しているとおり、韓国の医療保険基金は資金の枯渇が懸念されています。国民の健康を守るためのセーフティーネットが破綻する恐れが真剣に懸念されているのです。
であるのに、文在寅大統領は資金の枯渇がさらに進行する方向で舵を切り、去っていきました。
恐らく尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は「あいつ、本当にロクでもないことしかしないな」と怒り心頭でしょう。
全部ひっくり返してやる!
――というような経緯ですので、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権としては文在寅大統領が得意げに導入した「文ケア」なるものをひっくり返すしかないのです。
健康保険の財政が破綻しないように。
なにせ、健康保険の財政は2040年には累積赤字が678兆ウォンに達すると予想されているのです。
※朴槿恵政権では0.99%に過ぎなかった年平均「保険料率引き上げ率」は、文在寅政権で2.7%を超えました。
そのため、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は「文在寅ケアの廃棄」を表明し、これに対して前政権与党だった『共に民主党』から強烈な反発が出ています。
『共に民主党』の言い分では「文ケアの廃止は国民にとって医療費の爆弾になる」です。
国民の反発を抑えるべく、2022年12月15日、大統領室は国民パネラー100人を集めた説明会を開き、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が自らマイクを握り、説明を行いました。
以下は、大統領室が出した「実はこうです」というプレスリリースです。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。⇒参照・引用元:『第20代大統領室』公式サイト「『文在寅』廃棄は国民に医療費爆弾? → 『健康保険財政危機…今改革しなければ深刻な打撃』」
この日の説明会は「労働、教育、年金の3大改革」についてのものでしたが、「健康保険改革」も含まれました。
パネラーの中に、90歳代の老父母をケアしながら暮らす主婦がいらっしゃったのですが、「健康保険改編によって負担が上昇するのでないか」というの懸念を漏らしました。
これに対し、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は「心配する必要はない。改革をしようとするのは、モラルハザードが他の善良な加入者に被害を与えるため、保険制度を正義にしようとするものだ」と回答しています。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、「医療ショッピングのように1年間に病院に千回も通い、高価なMRI検査を繰返し受けた例もある」とも述べています。
このような例をモラルハザードと呼んでいるようです。
――ともあれ、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は年金・健康保険改革という人気のない案件に臨まねばなりません。文在寅という大統領が丸投げで逃げていった荷物は5年間でさらに重くなりました。
尹錫悦(ユン・ソギョル)政権がどう処理するのか、お手並み拝見です。
(吉田ハンチング@dcp)