韓国は原油代金70億ドルをイランを支払っていませんので、イランと韓国の間には遺恨があります。
また、イランという国は実は中東の孤児といっていい国で、周囲の各国からは大変に嫌われています。当然のごとくUAEとの仲も決していいわけではありません※。
※2016年06月にUAEはイランとの外交関係を格下げしましたが(サウジアラビアに同調した)、2021年08月に戻してはいます。
韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領はUAEを訪問していたのですが、現地での発言にイランが不快感を表明しました。
関係修復中だったのに……
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、UAEに派遣されている「アーク部隊」(韓国陸軍から派遣)の駐屯地を訪問し、以下のように述べました。
「UAEは私たちの兄弟国です.UAEはその意味で外国ではありません. あなたの国です。兄弟の国の安全は私たちの安全です。UAEの敵は最も脅威的な国であるイランであり、我々の敵は北朝鮮である。我々はUAEと同様の状況にある」
主敵が北朝鮮と明言したのは尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領らしいところですが、同じ文脈で「UAEの主敵はイランである」と言ってしまいました。
↑UAEに派遣された韓国陸軍、いわゆるアーク部隊の激励に訪れた尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領。このアーク部隊は、バラカ原発を韓国が激安で受注した際に締結された秘密協定によってUAEに駐留することになりました。UAEが有事なった場合、韓国は自動参戦することになっています。
↑第20代大統領室の公開した「アーク部隊」を訪問する尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の動画
上掲の※に書いたとおり、近年ではUAEとイランは関係の修復過程にあります(その分サウジアビアとUAEの関係がこじれだしています)。核開発で制裁を受けているイランにとってUAEは大事なのです。
この尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の発言に対して、イラン外務省のナセル・カナニ報道官は「イラン・イスラム共和国とアラブ首長国連邦(UAE)は、隣接する友好国である。ソウルは、イラン・イスラム共和国とアラブ首長国連邦を含む湾岸地域の国々との歴史的および友好関係についての知識が完全に欠如している」と発言(以下はイラン外務省の声明のスクリーンショット)。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。
イラン外務省は「韓国の外務省からの説明待ちである」として大変にご立腹な様子。
イランを敵に回すと、韓国に必須の原油の輸入が危なくなります。タンカーの航行する要路にイランがあるからです。
Money1でもご紹介したとおり、韓国はイラン革命防衛隊によって化学タンカーが拿捕されたことがあります。このときにも「70億ドルの原油代金を早く払え」と要求されました。
韓国政府は火消しに回ったのですが、結局この件はタンカーのオーナー会社がお金(実質身代金)を支払うことでタンカーが解放されるという結末※になりました。
今回の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の発言がイラン革命防衛隊を刺激することにならなければいいのですが……。
※「外交部の次官は何もせず横で見ていただけだった」という証言があります。
(吉田ハンチング@dcp)