韓国はアメリカ合衆国の対中規制によって苦境に立っていますが、ターゲットにされている中国はさらに深刻です。
しかし、これによって「中国から韓国への投資が増加している」とホクホクな記事が出ています。韓国メディア『朝鮮日報』の記事なのですが、以下に記事の一部を引用してみます。
(前略)
『ポスコフューチャーエム』(旧ポスコケミカル)は、世界最大のコバルト採掘業者である中国の『ファユコバルト』と合弁会社を設立し、1兆2,000億ウォンを投資し、慶北浦項ブルーバレー産業団地に前駆体生産ラインを構築すると発表した。前駆体(ニッケル・コバルト・マンガン化合物)はバッテリー単価40~50%を占める陽極材の核心材料で、約90%を中国から輸入し、依存度が高いが中国ではなく韓国に工場を建設することにした。
『LG化学』も『ファユコバルト』と手を組んで、全北群山セマングム国家産業団地に1兆2,000億ウォンを投資して前駆体工場を建てる。
これに先立ち、3月に『SKオン』と『エコプログラマリアルズ』も中国の『Germany』(GEM)と手を組んでセマングム産業団地に1兆2,100億ウォン規模の前駆体工場投資計画を発表した。
現在、国内合弁会社を探すことが知られている世界最大の前駆体企業中国『CNGR』の1兆ウォン投資、韓国子会社を通じて1兆ウォン規模の陽極材工場増設計画を明らかにした中国『ルンバイ』を含めると、発表された投資規模だけ5兆ウォンを超える。
(後略)
いうまでもなく中国企業が狙っているのは、迂回輸出による規制くぐりです。
合衆国のインフレ削減法(IRA)によれば、「バッテリー製造用の鉱物を加工する際、合衆国または合衆国と自由貿易協定(FTA)を結んだ国で40%以上(今年基準)を調達しなければ税額控除を受けることができません。
中国企業からすれば、韓国の産業団地に投資することで韓国政府が用意する減税措置も受けることができて一石二鳥です。
しかし、中国企業による規制逃れを合衆国が黙って見過ごすとも考えづらいところ。いつまで中国からの投資が増えたと喜んでいられるでしょうか。
合衆国が穴を埋めるためレギュレーションを変更することは十分に考えられます。
(吉田ハンチング@dcp)