<<重要な追記>>
初出記事に数字の誤りがありましたので修正いたしました。誠に申し訳ありません。深くお詫び申し上げます。
中国最大手不動産ディベロッパーの一つである『万科』(Vanke)の経営が傾き、再生できるかどうかが注目されています。
この『万科』は最近までは、中国不動産会社の中でも優等生といわれていたのですが、もはや優等生でもなんでもありません。飛ぶ寸前です。
「沈没しそうな船からはネズミが逃げ出す」といわれます。
うわさレベルではありますが、「『万科』の経営陣の多くが国外に出国したまま帰らず、グループの副総経理以上が出国監視下に置かれている」――という話が出ています。
『万科』の2023年の業績は、
総売上:4,657.4億元(-7.6%)
営業利益:292.5億元(-43.8%)
当期純利益:121.6億元(-46.4%)
※( )内は対前年同期比の増減
と下落しました。当期純利益などかろうじて黒字で、わずか「121.6億元」しかないのです。鉛筆をなめて無理から黒字にしたような数字です。
「まだ黒字じゃん」と思われるかもしれませんが、2024年に入っても苦難の行軍はさらに悪い方向に傾いています。2024年の売上推移は、
01月:194億元
02月:140億元
となっています。同社が正常な経営を維持するたまには、月の売上が「345億元」以上が必要――と試算されているにかかわらず……です。この推計を採用すると、
01月:56.2%しかない
02月:40.6%しかない
となって、全く売上が足りません。02月など必要な売上から6割も足りません。このままいけばマイナス転落必至です。
経営陣が海外に逃げたくなるのも無理はありませんが(中国共産党から吊るされる可能性もあるので)、逃げたって何も解決されません。
最悪なのは『万科』グループのマンションを購入した人の多くが、資金不足のために物件が完成せず引き渡してもらえないでいる――という現状です。
中国共産党は「とにかく物件を完成させろ」と発破をかけているのですが、業者を動しても資金不足でその賃金を支払えないという事態が起こり――これが中国全土での賃金不払いに拍車をかけているのです。
『万科』だけではありません。中国全土に未完成の不動産が「約2,000万戸」あり、これらを完成させるためには「約3兆元」(約67兆円)が必要――と推計されているのです。
そもそも不動産セクターのどの会社も傾いているというのに、どこから67兆円ものお金を出せというのでしょうか。中国共産党がいかに尻を叩こうが無理なのです。その無理を通そうとすると賃金不払いが激増するという、もはや四面楚歌の状況。
まさにばっかみたいな話です。
(吉田ハンチング@dcp)