韓国で興味深い判決が出ました。
2023年06月01日、韓国大法院(最高裁判所に相当)3部、『民主社会のための弁護士の会』(略称「民弁」)所属のソン・ギホ弁護士が外交部を相手に起こした「情報非公開処分取り消し訴訟」の上告審で、原告敗訴の判決を確定させました。
これは、日本にとっても大いに関係ある裁判です。
朴槿恵(パク・クネ)政権時に日本・安倍政権と交わした、いわゆる「慰安婦合意」についての裁判だからです。
原告のソン弁護士は、日本政府と韓国政府がどのように協議したのかを確認したいとして情報公開を求めました。
公開を求めたのは、
日韓の交渉文書の中でも、
●強制連行の存否と事実認定の問題
●「性奴隷」「日本軍慰安婦」などの用語問題と使用について協議した内容
について触れられた部分です。つまりは「日本政府は謝罪したのか」また「日本政府は強制性を認めたのか」を確認させろ――というわけです。
裁判所の判決がどのように転んだかというと――
裁判所の判断理由:
「外交分野の特殊性を考慮しても、情報の非公開で保護される国家の利益は国民の知る権利より大きくない」
2審:原則敗訴
裁判所の判断理由:
「当該情報が公開されれば、日本側の立場に関する内容が日本の同意なしに外部に公開されることで、外交的信頼関係に深刻な打撃を受けるだけでなく、両国間の利害の衝突や外交関係の緊張を招く可能性がある」
――で、ソン弁護士が控訴し、大法院にもつれこんだというわけです。
今回大法院は、「韓国と他の国が締結した外交協定の交渉内容を公開することに慎重な立場」「非公開で行われた外交交渉内容を公開しない利益がこれを公開することで得られる利益より大きいという原審の判断を認め、慎重な態度を取った従来の立場を再確認した」としています。
慰安合意の裏面交渉がどのようなものであったのか気になるところです。
しかし、ここでそれが公開されると、大マスコミの皆さんが「雪解け」と称する日韓関係がまた急冷却されるかもしれません。そのため、現尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が大法院に対して裏で政治的な圧力をかけた可能性は否定できないでしょう。
ただ、圧力をかけたことが明らかになれば、それはそれで政権は困ったことになります。
先にご紹介したとおり、韓国の大法院院長は、いまだ、あの最低の金命洙(キム・ミョンス)さんです(09月に退任)。金院長の下にある大法院なら、1審のように原告勝訴となるかも……という懸念もあったのですが、2審の判決どおりとなりました。
文政権下ならいざし知らず、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権なので、大法院も左派・進歩系丸出しな判断は出せなくなっているものと見られます。
金命洙(キム・ミョンス)という大法院長がいかに最低かということについては、先生が以下の動画で解説されていますので、知りたい方はぜひご覧ください。
(吉田ハンチング@dcp)