2023年08月24日、日本は福島処理水の海洋放出を開始。これに対して中国は「日本産海産物の全面輸入禁止」という措置を取りました。
海洋放出の結果はモニタリングされており、当初の見通しどおりトリチウムの濃度に問題は起こっておりません。
これを受けても中国政府は日本に難癖をつけ続けています。2023年08月25日、中国外交部の定例記者ブリーフィングで、日本『テレビ朝日』の記者が「科学的に問題ないじゃないか。今どんな気持ち?」という質問をぶつけました。
外交部の外交官がどう答えたか? 以下をご覧ください。『NHK』記者からの質問も併せてご紹介します。
『テレビ朝日』記者:
東京電力は、多核種除去設備(ALPS)から「処理水」を放流した後の最新の海水検査の結果を公表しましたが、トリチウムの濃度は今のところ問題ないとのことです。 中国はこの結果をどう見ていますか?汪文斌:
私たちは、日本政府が国際社会の強い反対を無視し、自国民と他国民の健康、発展、環境に対する権利を軽視し、福島の汚染水(原文ママ:引用者注/以下同)の海洋放出を強引に開始し、核汚染のリスクをあからさまに全世界に転嫁したことは、極めて利己的で無責任な行動であると繰り返し述べてきた。今日に至るまで、日本側は、汚染水海洋放出の決定の正当性、核汚染水浄化装置の長期的信頼性、汚染水データの真実性と正確性、『国際原子力機関』(IAEA)と国際社会に対する約束の履行、『国際原子力機関』(IAEA)が主導し、この問題に関心を持つ全ての国が全面的に参加する、長期的監視と現地監督のための国際的取り決めの確立を証明できていない。
私たちは、日本側が自分たちのやり方に固執することなく、過ちを直ちに正し、責任ある方法で核汚染水を処理するよう強く求める。
『NHK』記者:
岸田文雄首相は昨日、メディアに対し、福島第一原発の処理水の放出開始について、科学的根拠に基づき、日中の専門家による協議を積極的に推進すると述べた。 中国側は日本側のこの提案を考慮するのだろうか? また、中国側は「処理水」の科学的テストを行うのでしょうか?汪文斌:
日本が原発汚染水の海洋放出を強行しようとしていることは、極めて利己的で無責任な行為であることを改めて指摘しておきたい。日本側は、核汚染のリスクを全世界に転嫁する身勝手な振る舞いを直ちに改めるべきであり、「福島の水」を「日本の恥」にしてはならない。
また、日本側の極めて利己的で無責任な行動に対し、中国とその他の関係者は、海洋環境の安全、食の安全、国民の健康を守るために、合法的、合理的かつ必要な予防措置を講じる権利と責任があることを強調したい。
中国側の関係部門は、引き続き関連する監視作業を強化し、福島原発の汚染水の排出が海洋放射線環境に及ぼす可能性のある影響を適時に追跡調査する。
「科学的に問題ないじゃないか」という質問には答えていません。『IAEA』が主導し、関係各国が参加する国際的な枠組みによる放出でないから駄目――と主張して逃げました。
科学的に問題がなく、環境的に負荷をかけない方法をとっていることについては何も述べていません。つまり、中国は、「日本が中国の反対を無視して独自に処理を実行したこと」に文句をいっているだけです。
「日本側が自分たちのやり方に固執することなく」と言いようがまさに馬脚を現しています。「オレ様(中国)の言うことを聞け」に他なりません。
『NHK』記者の質問に対する回答もひどく、「海洋環境の安全、食の安全、国民の健康を守るために、合法的、合理的かつ必要な予防措置を講じる権利と責任がある」が何を引き起こすのを理解していません。
中国は「日本の福島処理水の海洋放出によって、世界中の海が汚染される」と言い続けています。
この言によれば、自国の漁民の皆さんが獲る海産物も汚染されているということです。それらもまた食用できないことになります。「日本産の海産物を全面輸入禁止」にするのなら、自国産の海産物も食用禁止にしなければなりません。
そうでなければ筋が通らないでしょう。
果たして中国は「自国産海産物の全面食用禁止」にするでしょうか? できないなら世界中から嘲笑されるでしょう。
全く愚かなことに、中国は「振り上げた拳を下ろすタイミング」を自ら失ったのです。
日本が気を付けなければいけないのは、海洋放出の過程がいかなる瑕疵もないようにすることです。もし何かあったら、中国・韓国が「それ見たことか」と鬼の首でも取ったかのように言い募るでしょう。
また、施設に対する破壊活動にも警戒すべきです。中国・韓国は自らの主張を通すために何をするか分かりません。
さらに日本は、WTO提訴などの手段を用いて、中国の「日本産海産物の全面輸入禁止」措置に対抗すべきです。日本の提訴に敗北することで、中国は「ちぇっ、これぐらいで勘弁しといたるわ」と拳を下ろすことができます。
ですから、日本が国際司法に訴えることは、中国にとってもいいことです。
(吉田ハンチング@dcp)