韓国『IMF』と年次協議。緊縮財政を褒められる

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2023年09月05日、韓国の企画財政部は『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)との年期協議を開催しました。

韓国では時に「死神」と呼ばれる『IMF』は韓国ミッション団を編成し、08月24日~09月06日、2週間の予定で訪韓しています。

韓国ミッション団はこれまでの調査の成果を持って、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官をはじめとする企画財政部と協議を行ったのです。

以下は企画財政部が出したプレスリリースです。

「韓国経済は下半期に改善見通し、緊縮基調を継続すべき」

-邱副首相、『IMF』(国際通貨基金)韓国ミッション団長と会談し、韓国経済動向及び政府の政策方向を議論-

秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官は9月5日(火)14:00、ソウル庁舎で『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)の韓国ミッション団(ミッション団長:Harald Finger:ヘラルド・フィンガー)と面談を行った。ミッション団は’23年年次協議*のため、08月24日~09月06日の日程で訪韓中である。

*『IMF』協定文(Article IV)に基づき、毎年加盟国のマクロ経済・財政・金融など経済状況全般を点検する会議で、後日理事会の承認を経て国別報告書を発表する。

フィンガー・ミッション団長は、過去2週間に実施した年次協議の結果を副首相に説明し、主要課題について意見を交換する時間を持った。

ミッション団長は韓国経済について政府の認識と同様に、半導体景気の改善などに支えられ、今年下半期から回復傾向が強化されると予想した。

また、最近発生した『セマウル金庫』事件と関連し、政府の迅速な対応が金融不安をうまく緩和するのに役立ったと評価し、住宅市場については、不動産規制緩和、減税などの措置が不動産価格の安定化(軟着陸)に貢献したと言及した。

ただし、これらの市場安定化措置は潜在的なモラルハザードを防止するため、一時的・選別的に支援されるべきであると助言した。

ミッション団長は、物価安定のための金融政策と歩調を合わせて緊縮的な財政政策を展開する政府の政策組み合わせについて、適切な方向性(Right set of policies)と評価し、当分の間、緊縮基調を持続、維持すべきだと強調した。

このような文脈で、ミッション団長は財政正常化のための政府の’24年予算案について肯定的に評価し、また、財政準則の導入も早急に完了すべきだと述べた。

秋副首相は、韓国経済に対するミッション団長の全体的な評価に同意し、厳しい経済状況にもかかわらず、物価安定と経済ファンダメンタルズ改善に重点を置いて政策を展開していく計画だと明らかにした。

また、今年下半期に韓国経済が反発できるよう、民間の経済活動を支援することに全力を尽くすと述べた。

⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「下半期の韓国経済改善見通し、緊縮基調を継続すべき」

フィンガー・ミッション団長が「韓国経済について政府の認識と同様に、半導体景気の改善などに支えられ、今年下半期から回復傾向が強化される」と言った――ことになっています。

これこそ企画財政部が最も言ってほしかった言葉で、だからこそプレスリリースのタイトルにもなっています。

Money1でもご紹介しましたが、秋長官は「下半期には韓国経済は反騰する」と言い続けてきました。

半導体や対中国貿易の推移を見ると、「本当に?」というところですが、『IMF』からも「回復が強化される」と言質を取ったのは、(これが本当であれば)心強いところです。

もっとも「反騰する」と「回復が強化される」では、ニュアンスの違いはあります。

一方で、『IMF』韓国ミッション団は「韓国政府の財政」について「緊縮を維持せよ」と釘を刺しています。また「2024年度の緊縮予算は良い方向だ」とも。

『IMF』の指示するとおりではありますが、これは、不景気に陥っている韓国なのに「政府がお金をまけない」ことを意味しています。

政府にとっては片手が縛られたような状況です。

もっともここで国債をじゃぶじゃぶ発行して緩和策を取ると――政府負債を積み上げることになり――信用格付会社が韓国債の格付けを下げる可能性があります。米国債の格下げに踏み切った『Fitch(フィッチ)』などは、真っ先に韓国の格付けを下げそうです。

格付けが下がるのは、資金流出につながる可能性があるので韓国政府としては絶対に避けたいのです。『IMF』に褒められても国の経済が沈没したら何の意味もありませんが、韓国政府としては打つ手がない状況となっています。

様子を見ながらそろそろと薄氷の上を進むしかありません。

(吉田ハンチング@dcp)

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