2023年09月15日、2008年に起こったリーマンショックから15周年となりました。ということは、韓国通貨危機から15周年ということになります(韓国通貨危機:2008~2009年)。
韓国メディア『東亜日報』が「金融危機から15年…韓国家計負債増加幅、G20中で2位」という記事を出しています。この記事が傑作です。15年たった現在、韓国経済がいかに薄氷を踏むような状況に陥っているかを活写しています。
事実なので仕方ありませんが、まあ挙がってる数字が暗いのなんの。
記事の始まりこそ、
2008年09月15日(現地時間)、合衆国公債のリーマン・ブラザーズ破綻をきっかけに引き起こされたグローバル金融危機(韓国については「韓国通貨危機」:引用者注)が今月15日で15周年を迎えた。
その衝撃で主要国が相次いでマイナス成長率を記録した2009年、韓国は0.8%の「驚きのプラス成長」を記録し、金融危機の風波をうまく乗り越えた優等生として評価された。
(後略)
と勇ましいのです。「優等生」だかなんだか存じませんが、現況たるや惨状という他ありません。数字を挙げてみましょう。
●家計負債
いつも韓国の時限爆弾といわれます。
韓国通貨危機前(2007年)と比較した2022年の家計負債の対GDP比増加幅は「35.8%ポイント」。G20諸国の中で中国(42.4%ポイント増加)に次いで2番目に高かった。
家計負債の対GDP比率は105%(2022年末時点)となっており、これはオーストラリア(111.8%)に続き第2位。
「105%」ですので、『BIS』(国際決済銀行)が提示する家計負債比率の基準値である80%を大きく超えています。
ちなみに、リーマンショックが発生する前の2007年末、合衆国の家計負債対GDP比率は「99.1%」でした。韓国はそれよりも深刻な状況なのです。
↑2023年09月14日『韓国銀行』発行の「通貨信用政策報告書」表紙
2023年09月14日に公表した「通貨信用政策報告書」で、『韓国銀行』は「家計負債は主要国と異なり、デレバレッジ(借り入れの縮小)なしに持続的に増加し、マクロ経済と金融の安定を阻害するレベルに達した」と評価しました。
●政府負債
文在寅政権が無茶苦茶に増やしたおかげで、韓国通貨危機前(2007年)と比較して2倍に増加。2007年末の政府負債は対GDP比で21.5%でしたが、2022年末には44.6%になりました。
●経済成長率
韓国メディアでは「長期低成長のわなにかかった」などと報じていますが、わなも何も自分でそうなったのです。『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)は、2023年度の韓国の経済成長率を、下方修正に次ぐ下方修正で「1.4%」としています。
余計な話なのは、日本との比較をしている点です。『東亜日報』は以下のように書いています。
(前略)
すでに韓国の成長率は2021年以降、2年連続で経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均を下回っている。(中略)
今年は日本が韓国を25年ぶりに成長率で上回る可能性があるという見通しまで出ている。
韓国は今年第1四半期と第2四半期(4~6月)の成長率がそれぞれ0.3%、0.6%で日本(0.9%、1.5%)に比べて低かった。
韓国の年間成長率が日本に後れをとったのは、-5.1%まで後退した1998年の外国為替危機(「アジア通貨危機」のこと:引用者注)以来のことだ。
(後略)
いちいち日本と比較しなくても良さそうなものですが、日本より経済成長率が低いことに我慢がならないのでしょう。
――というわけで、韓国経済の現在地はとても「優等生」などとは申せません。薄氷を踏む思いで進んでいるというのが本当のところです。
(吉田ハンチング@dcp)