韓国の前文在寅政権で、政府機関が公表する統計データが歪曲されていた件です。
2023年09月15日、監査院の調査報告によって、文在寅大統領府は自身の失政を隠すために、統計データの方を捻じ曲げていたという事実が明らかになりました。
ところが、文在寅さんは自身のSNSアカウントで「文政権では雇用は伸びた」とし、『韓国労働社会研究所』の投稿を引用しました。
2023.9.14日に投稿された『韓国労働社会研究所』(理事長キム・ユソン)の「文在寅政府雇用労働政策評価」を共有します。
文在寅・『共に民主党』政府の雇用率と青年雇用率史上最高、非正規職比率と賃金格差の減少および社会保険加入拡大、低賃金労働者比率と賃金不平等大幅縮小、労働分配率大幅改善、長時間労働及び実労働時の大幅短縮、労災事故死亡者の大幅減少、労働組合組織員数と組織率の大幅な増加、ストライキ発生件数と労働損失日数安定、雇用安全網死角地帯の解消などが確認できます。
文政権はよくやった――と強弁したわけです。
しかし、この投稿(および『韓国労働社会研究所』の投稿)について、韓国政府の雇用部が「文在寅の主張は間違っている!」と真っ向から反論しました。
実は、文在寅さんが投稿を引用した『韓国労働社会研究所』は、左派・進歩系の組織。
理事長のキム・ユソンさんというのは、韓労総、民労総出身で、代表的な「所得主導成長の礼賛論者」として知られた人物なのです。妄想に過ぎなかった所得主導経済を主導したホン・チャンピョ元大統領室経済首席の後任として、2020年12月から所得主導成長特別委員会委員長を務めた経験があります。
なんのことはない、キムさんの主張というのは、文在寅を擁護するだけではなく、自分の過去に対する弁明に過ぎないのです。
雇用部は、『韓国労働社会研究所』の主張(およびSNS投稿)は、文在寅の雇用政策を成功したものと牽強付会に主張したものだ――と資料を作りました。
内容は、『韓国労働社会研究所』と文在寅の主張を木っ端微塵に粉砕するものとなっています。
『韓国労働社会研究所』は「2017年60.8%だった雇用率が2022年62.1%で史上最高値を記録し、同じ期間失業率は3.7%から2.9%に落ちた」としたのですが、雇用部は――
「雇用率は(コロナ禍の直撃を受けた時期を除けば)年々向上している。これは“人口構造の変化”によるもので、増加傾向にあるだけで、政府の政策効果のためではない。
むしろ生産可能人口の中で核心年齢層である15~64歳の就職率増加率は、文政府の時期2017~2022年0.05%と歴代政権で最低だった」
――と主張。
雇用部は「あんたの政権と政策は歴代で最低だった」とはっきり切って捨てました。
「文政府による初の大幅な最低賃金引き上げが低賃金労働者の割合と賃金不平等を縮小した」という『韓国労働社会研究所』の主張に対しては、
「実際の労働者の労働所得増加率は文政府の時期に-0.4%とむしろ減少し、急激な最低賃金上昇によってで2018~2019年の就業者の数増加幅は大きく減少した」と反論しています。
さらに「非正規職ゼロ(0)政策で非正規職が減った」という『韓国労働社会研究所』の主張に関しても、
「全体で非正規職の規模は2017年32.9%から2022年37.5%にむしろ増加した」
「公共部門の正規職転換過程で仁川国際空港公社事態※など、社会的葛藤がもたらされた」と指摘しています。
※文在寅大統領が仁川国際空港を訪問し、勝手に非正規職の人に正規雇用に転換すると約束した事件。
もはや一私人になった人のSNS投稿にここまで政府の機関が反論を行うのは異例という他ありません。雇用部としては腹に据えかねたのでしょう。
文在寅は間違いなく韓国に災厄をもたらした大統領でした。
(吉田ハンチング@dcp)