2023年10月16日、韓国の産業通商資源部が「2023年09月情報通信産業(ICT)輸出入の現況」のデータを公表しました。
まず、以下がICT関連製品の輸出の推移です。
2023年09月
輸出:180.6億ドル
輸入:107.6億ドル
貿易収支(輸出 – 輸入):73.0億ドル
貿易収支は黒字「73.0億ドル」ですが、黒字でないと韓国は飛んでいますから、この点は特に注目に値しません。
それよりも、上掲の折れ線グラフです。対前年同期比の増減を示したものですが、09月時点でも対前年同期比で「-13.4%」。
対前年同期比でのマイナスが1年以上継続しており、つまりは韓国が誇ってきたICT産業の輸出は低迷し続けているのです。
ディスプレー以外は全滅
毎度おなじみですが、ICT産業の主要輸出品目の状況を見てみましょう。輸出金額と、( )内は、対前年同期比の増減率です。
半導体:99.9億ドル(-14.4%)
⇒メモリー半導体:54.3億ドル(-18.0%)
⇒システム半導体:41.6億ドル(-7.7%)
※DRAM単価推移(8GB)の価格は以下のように下落を続けています。
2022年07月:2.88ドル
2022年10月:2.21ドル
2023年01月:1.81ドル
2023年04月:1.45ドル
2023年07月:1.34ドル
2023年09月:1.30ドル
ディスプレー:20.0億ドル(+1.0%)
携帯電話:13.7億ドル(-5.2%)
コンピューター・周辺機器:8.0億ドル(-48.0%)
⇒SSD:4.6億ドル(-62.2%)
通信設備:2.2億ドル(-17.2%)
ディスプレーだけがわずかに「+1.0%」と増加していますが、それ以外は全滅です。最も回復が期待される半導体は「-14.4%」。
しかも大事なメモリー半導体の価格は下落を続けています。また、SSDがここにきて「-62.2%」と6割超も減少しました。
地域別もほぼ全滅!
ICT産業製品の輸出を主要地域別に見ると以下のようになります。
対中国(香港含む):75.0億ドル(-22.0%)
対ベトナム:31.0億ドル(+1.9%)
対アメリカ合衆国:21.8億ドル(-18.7%)
対EU:9.5億ドル(-12.2%)
対日本:3.4億ドル(-21.0%)
対ベトナム輸出が「+1.9%」になってはいますが、他の主要地域では全滅です。
ベトナムが伸びているのは、上掲主要品目のうちの「ディスプレー」。つまり、ベトナムへのディスプレー輸出が伸びているから、唯一ディスプレーだけが対前年同期比でプラスになっているのです。
対合衆国輸出は「-18.7%」ですが、唯一「携帯電話(スマホ)」だけは「2.4億ドル/+168.5%) と、対前年同期比で大きなプラスです。ただ金額自体が小さく、半導体他が下落しているので(半導体は21.8億ドル/-18.7 %)、全体ではマイナスなのです。
合衆国と対照的なのが、対EUで、携帯電話(スマホ)は「-75.2」と対前年同期比でほぼ1/4になってしましました。
これも金額が「0.2億ドル」と小さいので(縮小した)、全体には大きな影響を与えてはいません。
携帯電話(スマホ)に限っていうと、対日本も面白く、09月は「+100.6%」と輸出金額はほぼ2倍になっています。こちらも金額は「0.3億ドル」と小さいのですが、韓国にとってはうれしい成果かもしれません。
総じていえば、上掲の折れ線グラフが示すとおり韓国のICT関連製品輸出は低迷を続けています。ここが回復しないことには、韓国の輸出も上向きません。
(吉田ハンチング@dcp)