韓国のドメスティックな自動車メーカー『双竜自動車』が事実上の破綻に追い込まれ、さあ精算か?再生か?のギリギリの攻防が繰り広げられました。
Money1でもご紹介したおり、結局は2022年06月に韓国の『KGグループ』が買収確定。2023年03月には『KG Mobility(モビリティー)』と社名を変更し、再生に取り組んでここまできました。
『双竜自動車』にとってラッキーだったのは、『双竜自動車』として最後にリリースしたSUV車「TORRES(トーレス)」(上掲写真)が「格好いいじゃないか」と大ヒットしたことです(予約だけで5万台超を集めました)。
このヒットが『KGグループ』による買収の後押しをしたことになります。やはり製造業たるもの、自身の製品でその価値を示さなければなりません。その意味では『双竜自動車』は明日も分からぬギリギリの環境の中、最後の最後までよく頑張りました。健闘は讃えられるべきでしょう。
とはいえ、思わぬところから暗雲が垂れ込めています。
せっかく改名した『KGモビリティー』がもう使えなくなるかもしれないのです。『The Korean Economic Dairy』が興味深い記事を出していますので、以下に記事から一部を引用してみます。
韓国のSUV専門メーカー『KGモビリティー』が新社名を失う瀬戸際にある。
これは、旧社名の『双竜自動車』をやめ、新オーナーの下で世界進出を加速する計画に打撃を与える可能性がある。
11月24日(金)の韓国自動車業界によると、韓国知的財産庁(KIPO)は09月、『KGモビリティー』の商標登録申請を却下した。
パリ条約によると、知的財産や商標はある国で登録されると、他の国でも平等に保護されるとKIPOの関係者は説明している。
『KGモビリティー』は、韓国の自動車メーカーがその名称を申請する前に、欧州連合(EU)で商標登録されていたとKIPOは述べている。
韓国の自動車メーカーはすでにKIPOの決定を不服としているが、通常、不服申し立てから決定が出るまで少なくとも1年はかかる。
決定を待つ間、同社は海外市場でKGMの名称を使用すると述べた。
(後略)⇒参照・引用元:『The Korean Economic Dairy』「KG Mobility may lose its name to trademark troll」
『KGグループ』が買収した『双竜自動車』を『KGモビリティー』としたのは2023年03月。04月にはKIPOに英語名を商標登録申請しました。
ところが、『Cihan Turan』社がその前にEU、トルコ、オーストラリアで登録してしまっていたのです。業界関係者は「『Cihan Turan』社は特許トロールとして知られており、KGモビリティより先に商標登録することで権利を収益化するためにこれを利用したに違いない」と述べている――とのこと。
特許トロールというのは、ずいぶん前にご紹介したことがありますが、自身では使用しない特許を仕入れてそれを利用する者が現れると特許料を請求するという会社です。
Money1でも以下の記事などでご紹介したことがあります。
せっかく新しくスタートを切った『KGモビリティー』なのですが、嫌な事態に陥りました。改名する前に各国で登録できるかをよく調べ、その申請を行ってから発表するべきだったのです。『KGグループ』側の脇の甘さが出たといえるでしょう。
ともあれ、なってしまったことは仕方ありません。この名称問題、どうなるのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)