定点観測です。韓国の関税庁が「2023年12月01~10日の輸出入の現状」を公表しました。
2023年12月01~10日
輸出:157億9,200万ドル(+3.3%)
輸入:171億9,800万ドル(-15.3%)
貿易収支(輸出 – 輸入):-14億600万ドル2023年01月01日~12月10日
輸出:5,908億2,700万ドル(-8.3%)
輸入:6,066億8,300万ドル(-12.3%)
貿易収支(輸出 – 輸入):-158億5,600万ドル※( )内は対前年同期比の増減
⇒参照・引用元:『韓国 関税庁』公式サイト「2023年12月01~10日の輸出入の現状」
韓国は貿易1本で食べている国なので、貿易でのもうけを示す貿易収支の動向は常に見ておかなければなりません。
2023年12月は、最初の10日間は「-14億600万ドル」となりました。ここ最近は赤字が小幅で済んでおり、12月もその傾向を見せています。
韓国メディアは「輸出が+3.3%」と喜んで書くかもしれませんが、それよりも注目したいのは輸入の落ち込みです。対前年同期比で「-15.3%」と大きく落ち込んでいます。
資源価格の下落によるものなのか、とも考えられるのですが、韓国が最も影響を受ける原油価格をWTIで確認してみると、以下のようになります(チャートは『Investing.com』より引用/月足:以下同)。
確かに原油価格は下げていますが、2022年の11月と2023年の11月を比較してみると、実は終値ベースで5.7%下げただけです。輸入の-15.3%という大きな下落を原油価格が下がったからとは言いにくいでしょう。
需要の大きな銅の価格を見ると以下のようにむしろ上がっています(終値ベースで3.0%の上昇)。
ということは――輸入は外国からする消費ですから――12月初動では消費が大きく弱っているのではないのか、と考えられます。貿易のもうけを示す貿易収支は、輸出から輸入を引いて求めますので、輸入金額が小さくなればその分もうかったように見えます。
これは不況型黒字を示すものであって、韓国にとってはよくありません。
韓国では文在寅政権のころから「輸出6,000億ドル時代の到来だ」と喜んでいました。確かに2023年も12月10日時点で「5,908億2,700万ドル」まできています。
しかし、問題は輸出の金額ではなく、貿易で幾ら儲かったのかです。特に韓国の場合は「貿易による儲けで食べている国」なので、これが赤字になったら国が傾くのです。また、輸入金額が減ったから黒字というのは不況型黒字であって喜べるものではないのです。それは縮小のスパイラルに至る道です。
12月がどのように締まるのかにご注目ください。
(柏ケミカル@dcp)