韓国の失速「製造業の生産・小売・設備投資が全滅」

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2024年05月03日、韓国の統計庁から「2024年03月の産業活動動向」が公表されたのですが――これが「失速」といっていい数字になっています。

まず全般状況をご覧ください。

(生産)全産業生産は

鉱工業*-3.2%
サービス業**-0.8%

などで生産が減少し、前月比2.1%減少した。

* 金属加工、電子部品などで減少
** 卸売・小売、宿泊・飲食店などで減少。

(消費)
小売販売は飲食料品、乗用車などの販売が増加し、前月比1.6%増加

(投資)
設備投資は機械類および輸送機器投資が減少し、前月比6.6%減少、建築および土木工事の実績が減少し、前月比8.7%減少

(景気)
動向総合指数の循環変動値は前月比0.3ポイント下落、先行総合指数の循環変動値は前月比0.2ポイント下落

⇒参照・引用元:『韓国 統計庁』公式サイト「2024年03月の産業活動動向」

消費にかかわる小売販売は1.6%増加ですが、設備投資は6.6%も下落しています。大不況で首が回らなくなっている建設業でマイナスは分かりますが、「-8.7%」は落ちすぎでしょう。

景気の状況を示す指数はマイナスです。

上記数字は全て「前月比」であることに注意してください。

これを、対前年同月比で見ると深刻な事態になっていることが分かるのです。

対前年同月比での増減
小売販売:-2.7%
設備投資:-4.8%
建築土木:-2.1%

製造業の出荷:-3.8%
⇒国内出荷:-7.5%
⇒海外出荷:+0.9%

小売販売、設備投資の両方とも対前年同期比でマイナス。

韓国は製造業の製品輸出で食べている国ですが、海外出荷は+0.9%。こちらは「プラスだからいいか」としても、国内が「7.5%も減少」です。小売販売がマイナスであることもそうですが、国内の消費が弱っていることが分かります。

製造業について面白いのは以下のグラフです。

製造業の稼働率ですが、また下落方向に転じています。

2024年第1四半期の結果を、前四半期比でまとめてみると、以下のようになります。

製造業生産:-0.5%
小売売上高:-0.2%
設備投資:-1.2%

製造業の生産が落ち、消費の小売売上高が落ち、設備投資も落ちているわけですから全滅です。総じていえば、韓国の経済を回す項目が失速したことを示しています。

こうして見ると、『韓国銀行』が先に公表した「2024年第1四半期のGDP成長率:1.3%」という数字が「本当に?」と懐疑的に見えてきます。

実際、先にご紹介したとおり、『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁も「なぜ予測から大幅に上にぶれたのか」については、「なんや、よう分からん」という主旨の発言をしています(以下の先記事参照)。

韓銀総裁「韓国は構造改革なしには成長率の低下を防げない」
『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は、『アジア開発銀行』(ADB)の年次総会でジョージアを訪問。2024年05月02日(現地時間)、記者団と懇談会を行いました。この懇談会での発言は非常に面白いものでした。なぜGDP成長率が急上昇した...

なんや、よう分からん」では困るのです。なにせ予測の2倍の数字になったのですから。

李昌鏞(イ・チャンヨン)さんは『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)でアジア太平洋局長を務めた人です。

李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁が率いている限り、『韓国銀行』はいい加減なことはしないと信じますが、なぜ2倍にもなったのかを合理的に説明していただきたいところです。

(吉田ハンチング@dcp)

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