先に、海外進出した韓国企業が韓国内に戻る(リショアリング)なんて不可能という件をご紹介しました。実際、海外進出した企業の94%が「帰りません」と回答しているという件もご紹介しましたね。
2020年06月30日、韓国メディア『ソウル経済』に、
「メードインコリア」にこだわり続けたために優良な中小企業が廃業に追い込まれた
という記事が掲載されました。同記事から一部を引用します。
(前略)
29日、韓国産業団地公団によると、仁川南東公団にある『イルヤ』は、過去17年間、大企業に携帯電話の部品などを納入してきたが、25日に生産を全面中断した。産業団地には工場を処分すると申告した。関連製造業の廃業を決めたのだ。
1978年、ソウル九老区で創業してから40年余り。かつて年間売上高700億ウォンを達成したし、2018年には最優秀パートナーに選ばれた優良企業であった。
2016年には、大企業の部品事業の拡大に『イルヤ』がランプ納入業者になるかもしれないという期待も大きかった。
その大企業が携帯電話の国内生産を停止して、ベトナムに工場を移転しても『イルヤ』は、国内工場を廃棄しないという考えの下に、ベトナム行きを諦めた。すると、国内受注量は急減した。その上、急激に上がる人件費の直撃弾を浴びた。
(後略)⇒参照・引用元:『ソウル経済』「大企業パートナーも結局廃業…『工場の海外移転しなかったこと、骨身に染みるほど後悔』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
大企業の製造拠点が韓国外へ出て行き、それについて部品納入会社も国外へ。この会社は海外に行かず、韓国国内で頑張ってきたのですが、受注減と人件費のアップについに耐えきれなくなった――というわけです。
同記事は以下のように述べています。
(前略)
大企業が海外に生産工場を移転し、『イルヤ』のように国内受注量が減って、人件費の負担に耐えられず、廃業するメーカーが続出している。大企業への1次協力会社まで事業を閉める状況続いている。2・3次協力会社の危機感は言葉で表現するのが難しいほどだ。
それでも最低賃金を審議・議決する社会的対話機構である最低賃金委員会が同日午後、政府世宗庁舎で開かれたが、このような危機感に共感する雰囲気はなかった。
(後略)
韓国内に製造業のラインを置いていると「こうなる」という見本です。韓国の製造業は本当に大変な困難に直面しているのです。輸出1本で食べている国なのに、どんな輸出産業が残るというのでしょうか。
ちなみに、先にご紹介した「最低賃金上げろ」の話はまだやっています。
(柏ケミカル@dcp)