韓国では個人投資家が大幅に増加し、「投資ブーム」です。2020年09月24日時点での信用供与額は「17兆2,466億ウォン」にもなります。
信用供与というのは金融機関などが投資目的のためのお金を貸すことです。つまり、個人投資家はお金を借りて投入する資金を膨らませているわけです。
中でも熱心なのは株式投資。
これは新型コロナウイルス騒動で大幅に株価が下落したので、底からの戻り(株価上昇)を取ろうという意図によるものです。
例えば、以下は直近の1週間(2020年09月20-25日)の投資家別売買動向を示した棒グラフですが、以下のように個人投資家は大きく買い越しています。
なんと1週間で「1兆6,835億ウォン」の買い越しです。
ただし、これでも売買代金は減少傾向にあるのです。というのは、新型コロナウイルス騒動からの大きな戻りはすでに終わったという見方があるからです。
以下の直近までのKOSPI(韓国総合株価指数)のチャートをご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。
これは、ローソク足1本が1日の値動きを示す「日足」チャートですが、新型コロナウイルス騒動によって株価は急落しましたが、03月19日の「1,439.43」(安値)を天底に急上昇しています。
右端、現在(09月25日)のローソク足の終値が「2,267.63」ですので、株価は天底から「1.58倍」になったわけです。つまり、03月19日の時点で「二番底を恐れず株式を買い」にいっていれば資産は「1.58倍」にできたのです。
しかし、上掲チャートのプライスアクションを見ていただければ分かるとおり、急上昇は終了し「調整局面」に入ったのではないかと見ることが可能です。
そのため、実は08月中旬以降から徐々に取引金額は減少傾向を見せています。
そんな中、個人投資家が熱くなっている金融商品があります。レバレッジETFです。面倒くさい方は飛ばしていただいて大丈夫ですが、ETFというのは「上場投資信託」のこと。あるインデッスと連動して値動きするように設計されており、株式と同じように売買できます。
これに「2倍」「3倍」とレバレッジを効かせた商品があるのです。これは、そのインデックスの値動きを増幅して「2倍」「3倍」と動くように設計されています。
つまり、利益を「2倍」「3倍」にできるというわけです。ただし、それは上昇した場合のこと。下落すれば損も「2倍」「3倍」になるのです。
韓国の個人投資家はこれに大金を突っ込んでいるのです。しかし、調整局面なのでそろそろ危ないんじゃないの、というわけです。なにせ、下落すると損が「2倍」「3倍」になりますので。
韓国メディアにもこれを懸念する記事が出ています。『ソウル経済』の記事から以下に一部を引用します。
海外株式投資に乗り出した個人投資家の間では、3倍の利益を追求するETFに投資するケーズが急激に増えている。
韓国預託決済院によると、国内の投資家は、今月に入って24日までにナスダック100指数の変動を3倍に追従する「ProShares UltraPro QQQ(TQQQ)」を国内で6,755万ドル(約791億ウォン)規模買い越した。
また、最近1週間の間に、ナスダック下落3倍賭けの「ProShares Ultra Pro Short QQQ」も628万ドル(約74億ウォン)買い越した。
ナスダックの下落が大きくなり、追加下落も念頭に置いた動きと見られる。
「ナスダック下落3倍賭け」というのは、「リバース」と呼ばれるもので「下落すれば利益が出る」という商品で、この場合は「アメリカ合衆国の『NASDAQ』(ナスダック)市場の指数が下落すればその3倍もうかりますよ」というわけです。
ナスダックでは下落すると踏んでこのような商品にお金を突っ込んでいるといるのです。しかし、下落すればいいのですが、逆に上昇すると3倍損します。
上がるか下がるかなんて誰にも分かりませんが、いずれにせよ韓国の金融当局は警告を発しています。
さて、韓国の個人投資家の熱意は報われるでしょうか、それとも阿鼻叫喚の地獄絵図となるでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)