2020年10月30日、韓国の文在寅大統領は自身の唱える「韓国版ニューディール」の進捗を確認し、ハッパをかけるため、『現代自動車』の蔚山工場を訪問。なかなかの大風呂敷を広げてみせましたので、今回はこれをご紹介します。
電気・水素自動車で頑張らないと韓国自動車産業はなくなる
文大統領は「グリーンモビリティー」として電気自動車・水素自動車にも目がありません。2020年10月28日には「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」と表明してしまいましたし、そのためにも『現代自動車』に内燃機関を搭載した自動車以外に注力してほしいのです。
また、自動車産業は部品産業など裾野が広いですから、生態系などといわれるとおり、1本強い完成自動車メーカーがあれば全体で多くの企業・人を養うことができます。もし『現代自動車』が電気自動車・水素自動車で遅れを取って世界市場で負けると、韓国内の自動車産業の生態系が大打撃を受けます(実はもう弱体化によって打撃は受けています)。
で、文大統領は電気自動車・水素自動車で韓国企業を大きく発展させたいのです。
水素ドローンに水素鉄道!
で、なかなかの大風呂敷な演説を行ったのですが、韓国メディア『マネートゥデイ』から以下に引用します。
(前略)
文大統領は特に「自動車は製造業の輸出の12%、雇用47万に責任を負う成長と雇用の中枢」と述べ「未来の車と関連産業を輸出主力産業として育成し、関連の仕事を拡大する」と発表した。それと共に「2025年までに電気自動車46万台、水素自動車7万台を輸出して、部品・素材と関連産業の輸出を拡大して雇用を増やす」とし「このために、2025年までに電気自動車の走行距離50%、燃費10%を向上します。水素自動車の耐久性と燃費を改善し、北米、欧州、中国市場への進出を促進する」とした。
続いて「世界1位の二次電池・燃料電池を第2の半導体として育成し、2次電池素材・部品・機器を年間売上13兆ウォンの新産業として育てること」とし「カー半導体、センサーなど自律走行の核心部品開発と水素ドローン、水素鉄道、水素船舶、水素建設機械なども新しい輸出商品として育成する」と強調した。
なかなか希有壮大な構想ですね。中国と共に爆発がお家芸とされる韓国ですので、韓国製の水素ドローン! 水素鉄道! 水素船舶!とたたみかけられても、字面からは嫌な予感が漂います。
20兆ウォンを突っ込むぞ!
また、文大統領が走行距離50%、燃費を10%良くしてくれるわけではなく、「お金を出すからキミらは頑張るように」という話なんですけどね。
と文大統領がおっしゃっているので日本円でだいたい1.8兆円。大きいかもしれませんが、『トヨタ』の年間研究開発費が1兆円を超えている時代なのです。もう一桁上げてみるのはどうでしょうか。
これをもって、
そうです。恐らく水素ステーションを多数造るのに日本の技術が必要になって、基礎技術を持つ日本企業が――例えばイワタニさんなどが特需でもうかるのではないか、それをまた韓国メディアが「韓国産の技術はどうした」などとヒステリックに叫ぶのではないか、そんな未来も見えてきます。
まあ頑張ってください、としかいいようがないのですが、日本企業は持っている技術がパクられないように十分に気を付けるのが良いでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)