上掲は直近までのドルウォンの日足チャートですが、現在は「1ドル=1,134ウォン」までウォン高が進行しており、これは2019年04月終盤の水準です。
底を打った感じもありますが、先週には「1ドル=1,000ウォン」までいくのでは?みたいな話が韓国メディアに出たほどです。
「1,000ウォン台」までいったら、さすがに韓国通貨当局も黙って見ているわけには行きません。
というのは2018年に韓国通貨当局は「1ドル=1,060ウォン」近辺で「注視してる」旨の発言を行ったことがあるからです。
ウォン高阻止で為替介入に乗り出したとして、問題になるのは合衆国と締結した新しいFTAです。
韓国では「為替条項はないですよ」なんてことになっていますが、例えば2018年03月28日のCNNの報道「韓国と合衆国との新しい取引について、あなたが知っておくべきこと」では、以下のように書かれています。
為替条項
The United States and South Korea also agreed to try to make sure neither country devalues its currency intentionally to gain an unfair advantage on trade.
合衆国と韓国はまた、貿易において不当な優位性を得るために、どちらの国も意図的に通貨を切り下げないようにすることに合意した。
これは合衆国側の認識を代弁しており、韓国が「ないない」と首を振っても、合衆国は「合意したよな!」で押してくることは明白です。
ただし、これは、
しかし、対策には歯が欠けています。
と続くのですが。
つまり、どうやってこの合意を裏打ちするのかといった取決めがないのでお互いの誠意を信じるような話になっているというわけです。韓国はこれをもって「ないない」と称しているのかもしれませんが。
しかしながら、皆さまもご存じのとおり、合衆国は何かというと「通貨安に誘導してるよな?」と難癖をつけてくる国です。
韓国がもしウォン高是正のためにウォン安誘導の為替介入(ウォン売りドル買い)を行ったら、合衆国に難癖をつけるきっかけを与えます。そう考えるとウォン安を是正するための介入(ドル売りウォン買い)の方がまだ気が楽かもしれません。
ドルは溶けちゃいますが、合衆国には怒られませんので(笑)。
(吉田ハンチング@dcp)