2021年06月07日、韓国の金融監督院から「2021年5月外国人の証券投資動向」が公表されました。04月には韓国株式市場に外国人投資家が帰ってきた、と韓国メディアでも喜びの声が上がっていたのですが、05月はまた「去りゆく」に転じました。
この場合の「帰ってきた」は資金の純流入を指します。つまり、株式を買う方が売るよりも多い場合は、資金の純流入になりますが、売る方が買う方よりも多い場合は「出て行く金額」が多くなり、資金の純流出です。
上掲が金融監督院のプレスリリースにある「韓国証券市場」での外国人投資家の売買動向です。これによれば、以下のようになっています。
株式:-10兆1,670億ウォン(約-1兆65億円)
債券:5兆5,160億ウォン(約5,461億円)
小計:-4兆6,510億ウォン(約-4,605億円)
株式市場ではなんと10兆1,670億ウォンも売り越しており、この分の資金が流出しました。
債券市場では5兆5,160億ウォンの買い越しで、この分資金流入ですが、株式市場・債券市場合わせて「4兆6,510億ウォン」が韓国から流出しました。
株式と債券は根本的に違う
ちなみにPortforio Investment(証券投資)は大きく「equity securities(株式)」と「debt securities(債券)」との2つに分かれます。この2つは、紙(証券:現在は電子的なものですが)に投資するという点では同じですが、根本的に違います。
投資家から見ると、株式を購入するのはその企業に出資することです。債券を購入するのは、その企業にお金を貸すことです。
また、株式の場合は投資した金額がいくらになるのか分かりません。投資した金額を割れる可能性もあります。一方、債券の場合は利率は決まっており、満期になれば元本が返ってきます。
発行する側からすれば、株式は出資であってそのお金を返済する義務はありません。しかし、債券の場合は借金ですから債務であり、つまり返済する義務が生じます。
ですので、株式市場に資金が純流入していることは出資(返済義務のないお金)が増えていることで、債券市場に資金が純流入していることは債務(返済しなければならない借金)が増えていることを意味します。
韓国メディアに「債券市場には純流入が続いている」と良さげに書かれるかもしれませんが、確かに資金の貸し手がいるのはいいことですが、一方でそれは債務を増やし続けていることでもあるのです。
2021年05月時点
外国人投資家の保有株式金額:820兆2,000億ウォン
(約81兆1,998億円)
市場時価総額比:30.1%
外国人投資家の債券保有金額:179兆1,000億ウォン
(約17兆7,309億円)
市場時価総額比:8.3%
⇒参照・引用元:『韓国 金融監督院』公式サイト「2021年5月外国人の証券投資動向」
(吉田ハンチング@dcp)