2021年06月06日、アメリカ合衆国から75万Shots分のワクチンと連邦上院議員3人を乗せた合衆国空軍の輸送機C-17(グローブマスターIII)が台湾松山空港に到着しました。
実は、空軍機が到着した、というのがみそなのです。
というのは、昨年、中国共産党の御用新聞『環球時報(これの英語版が『Global Times』)』は「米軍機が台湾に直接離着陸すれば台湾海峡での戦争が始まる」という論説を掲載していました。
台湾の皆さんを救うためのワクチンと合衆国議員を載せた機を阻止するわけにはいきませんから、「ぐぬぬ……」といった状態だったでしょう。とにかく、威勢良く台湾・合衆国を戦争で脅していたのですが、今回のワクチン輸送で中国共産党のメンツは丸つぶれとなりました。
御用新聞の社説はこうなっている
今回のメンツ丸潰れ事態について、2021年06月06日、『Global Times』は「本土は台湾に着陸するC-17戦略航空機にどのように反応すべきか?」という社説を出しました。
以下に一部を引用します。
日曜日の朝、合衆国の上院議員3人が電撃的に台湾島(原文はthe island of Taiwan/国と思われないようにだと思われる:筆者注)に到着した。
彼らは、通常このような任務に使用する民間機ではなく、軍用輸送機である合衆国空軍C-17グローブマスターIIIを利用したので、余計に注目されている。
間違いなく、合衆国と台湾島は今回の挑発のために考案したサラミ戦術で、さらなる挑発を行っているのだ。
合衆国と台湾の当局は、C-17を意図的に強調したり議論したりしていない。
しかし、台湾のグリーン・キャンプ・メディア(緑は『民進党』の色/台湾の『民進党』よりメディアの意味:筆者注)は、このC-17について繰り返し語り、非常に興奮している。
彼らは、C-17は米軍の戦略的・戦術的輸送機であり、合衆国の高速・長距離輸送の主要な手段であると主張した。彼らはまた、これが台湾への「初上陸」であり、「大きな意義がある」と述べた。
欧米のメディアも、C-17の登場は「異例」だとしている。合衆国と台湾の当局はC-17を軽視しているが、台湾のメディアはその意義を増幅している。
彼らは、C-17の島への着陸を大陸側が受け入れなければならない事実とし、米台がさらに共謀をエスカレートさせる道を開きたいのだ。
(後略)
C-17で到着したことには特に意味なんかないよ、というフリをしています。自分が昨年述べたこともスルーです。
で、今回の事態についての対処ですが、同記事は以下のように結ばれています。
(後略)
最後に、アメリカと台湾の間の陰謀を本土が再び打ち破ることができると信じるべきである。自分たちの力に自信があれば、大陸が戦略的損失を被るかどうかを心配する必要はない。
中国は全体的な状況を見て大きな計画を立てているが、それは中国人の勇気と知恵の総和を表すものなので、戦略的な勇気や知恵を欠くことはない。
信じるものは救われる、みたいな話になっています。また智恵と勇気で対処する、そうです。昨年述べた「戦争だ」はなかったことにしたようです。
(吉田ハンチング@dcp)