いよいよ末期となった韓国の文在寅政権。大統領肝いりで立ち上げた「韓国版ニューディール」について予算を増額するという報道が出ました。韓国メディア『韓国経済』のスクープです。
同紙記事によれば、2021年07月14日に韓国版ニューディール発表1周年(!?)を迎えるのに当たり、「韓国版ニューディール2.0」を発表するとのこと。
この「2.0」には青年層を支援する「ケア・教育関連政策」が盛り込まれる予定。
なぜ急にこのようなことをいいだしたかというと、04月07日に行われたソウル・釜山市長選挙(補欠選)で惨敗し、青年層(20・30代)の現政権からの離反が検知されたからだというのです。
若い世代は文在寅政権に否定的な評価
政権側が危機感を抱くのも無理はないのです。以下のリアルメーターの調査結果をご覧ください。
文在寅政権の政策遂行能力への否定的評価
18~29歳:59.4%※データ出典:『リアルメーター』
「60代:71.4%」「70歳以上:64.4%」もどうかと思うぐらい高いですが、18~29歳で否定的評価が約6割というのは文政権の執政に問題があるといわざえるを得ません。
予定されているのは小手先の変更
このように若い世代からの否定的評価が高まっているので手を打とうというわけです。
しかし、予定されている「2.0」なるものは、これまで推進してきた事業を「韓国版ニューディール」に組み入れるという「包装し直し」「パッケージ組み換え」に過ぎず、決して褒められるものではありません。
例えば、奨学金。また少子化対策として拡充してきた国公立保育園です。
これらはもともと、
奨学金:4兆ウォン(約3,920億円)
国公立保育園の拡充:609億ウォン(約60億円)
と予算がついていたものでした。これを「2.0」では「ヒューマン・ニューディール」として内包しようとしています。
予算を10兆ウォン膨らませようとしている!
本件を報じた『韓国経済』によれば、さまざまな事業を韓国版ニューディールの中に取り込もうとしています。
問題は、すでに来年度(2022年)の予算には韓国版ニューディール用の資金として「27兆7,000億ウォン」(約2兆7,146億円)という巨額が確保されており、次期政権はこれに縛られざるを得ない、という点です。
2021年は21兆3,000億ウォンなのですが、同紙によれば、これに10兆ウォン(約9,800億円)を追加する金額にするような動きがあるとこと。
つまり2022年には都合「31兆3,000億ウォン」(約3兆674億円)になるわけです。当初の予算を大幅に超えています。
そもそも「韓国版ニューディール」は成果を上げていない!
財源をどうするのかの議論もありますが、その前に「韓国版ニューディール」なるものが本当に有効なのかを検証しなければなりません。すでに開始されているのですから。
『韓国経済』の記事から一部を以下に引用します。
(前略)
『ソウル大学』キム・ソヨン経済学科教授は、「既存の韓国版ニューディール政策も特別なポリシーではなかった。仕事にお金を出すこと以外に具体的な効果や成果は大きくなかった」とし「このような予算を継続して増やすと、財政効率の面でよくない。韓国経済成長の足を引っ張る可能性もある」と指摘した。キム教授は、「1年前も今も具体的な話はなく、韓国版ニューディールという名前だけが残っている」と強調した。
(後略)
この先生の指摘だけが正しいわけではないでしょうが、具体的な成果が見えないのは確かです。特に韓国版ニューディールで指定された業種が発展したわけではありませんし、若い世代の失業率は悪いままです(統計庁のデータでは多少改善しています)。
包装し直して「2.0」としたところで、詰まるところこれまで進めてきた事業と変わる点があるわけではないのです。「朝三暮四」のような話です。
⇒参照・引用元:『韓国経済』「【独占】『韓国版ニューディール』で青年なだめる…予算10兆+α増額予定」
(吉田ハンチング@dcp)